2005 Fiscal Year Annual Research Report
心臓冠動脈発生における心臓外細胞の関与-先天性心疾患モデルラット全胚培養での検討
Project/Area Number |
16390299
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中川 雅生 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40188909)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 英俊 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40209078)
今中 恭子 三重大学, 医学部, 講師 (00242967)
富田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40231451)
|
Keywords | proepicardial organ / 心外膜 / 冠動脈 / 上皮間葉転換 / 血管成長因子 / 全胚培養 / bis-diamine / tenascin-C |
Research Abstract |
平成16年度の研究で、bis-diamineはproepicardial organ(PEO)由来細胞の心臓での上皮間葉転換を阻害し冠動脈の発生異常を来すことが示唆された。その機序を分子レベルで明らかにするため、胎生10日のラット胚を48時間培養し、bis-diamineを添加した場合の心臓におけるtenascin-C、VEGF、HGF、bFGF、Flt-1等の血管成長因子の発現を免疫組織学的に観察した。bis-diamineを添加した胚では添加しない胚に比べこれらの因子の発現は遅れていた。bis-diamineが直接PEOに与える影響を調べるため、胎生9.5日のマウス胚から摘出したPEOをコラーゲン培地上で培養し、培養液中に低濃度のbis-diamineを添加したところ、PEO細胞は成長せず、管腔構造も形成されなかった。培養PEOからRNAを採取し、成長因子発現の解析を行った結果、培養1日目にはtenascin-C、Flt-1、VEGF、HGFの発現を認めたが、培養3日目にはこれらすべての成長因子の発現は減弱した。PECAM、bFGFの発現は認めなかった。bis-diamineを添加しない培養液で培養したPEOから採取したRNAの解析では、培養1日目にtenascin-C、Flt-1、VEGF、HGFの発現を認め、培養3日目にはこれらに加えPECAM、bFGFの発現も認めた。bis-diamineはPEOの正常な成長を遅らせると同時に、PEOが血管内皮、血管構造を形成するのに重要な成長因子の発現を障害することが分子レベルで明らかになった。 神経堤細胞が心外膜や冠血管の発生に関与するかどうかを検討するため、Humberger-Hamiltonステージ9〜10のニワトリ胚で心臓神経堤を含む様々な部位の神経堤細胞を電気焼灼メスで焼灼し、フ卵10日目に胚を採取した。心臓神経堤部分を焼灼除去することで総動脈幹遺残心を作成でき、これら心臓では冠動脈の開口部異常、走行異常を高率に認めた。このことから、心臓神経堤細胞は心外膜形成や冠動脈形成に直接あるいはPEO形成を介して間接的に関与する可能性が示唆された。
|