2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト21番染色体の詳細な遺伝子情報に基づくダウン症モデルマウスの系統的作成
Project/Area Number |
16390307
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
工藤 純 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80178003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 和憲 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90296723)
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Keywords | ダウン症 / ヒト21番染色体 / 疾患モデルマウス / HAC / マウス17番染色体 / マウス10番染色体 / BAC / トリソミー21 |
Research Abstract |
1.トランスミニクロモソーマルマウスの各器官・組織におけるHACの保持率とHAC上のヒト遺伝子の発現の解析平成17年度に作製したヒト人工染色体HAC(Human Artificial Chromosome)保有トランスミニクロモソーマルマウスについて、導入したHACの保持率を検討した。そのためにHAC上のヒト遺伝子とマウス相同遺伝子間で完全に保存された共通塩基配列部位を選択し、これをヒト/マウス共通のPCRプライマーとして用い、各組織から抽出したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、PCR産物中のヒト/マウスDNAを制限酵素切断部位の有無で識別する方法を用いて、ヒトDNA(HAC):マウスDNAの比を決定した。HAC保有ES細胞については、1:2であり、細胞当たりのHACのコピー数は、1であった。マウスの多くの組織(眼球、脳、心臓、腎臓、肝臓、骨格筋など)では、ES胞と同レベルで保持されていた。また、導入したヒト遺伝子シスタチオニンβシンターゼ(CBS)、U2補助因子1(U2AF1)、クリスタリンαA(CRYAA)のmRNA量をマウス相同遺伝子のmRNA量と比較するため、同様にヒト/マウス共通のPCRプライマーを用いたRT-PCRによって、各組織・器官ごとに解析した。何れの遺伝子についても、多くの組織でヒト型とマウス型の発現量の比は概ね1:10程度しかなく、遺伝子1コピーあたりでは、ヒト型遺伝子の発現量はマウス型遺伝子の20%程度と見積もられた。マウスの転写因子とヒト型遺伝子のプロモーターとの相性の問題と推定された。 2.上記の問題を克服するため、ヒト21番染色体に相当するマウス17番、10番染色体領域の候補遺伝子をカバーするマウスBACを選択した。今後はマウスBACをHACに導入し、HAC保有マウスの作成を遂行する。
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