2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳の発生・分化制御に関与する遺伝子群発現へのエタノールの影響
Project/Area Number |
16390310
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福井 義浩 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50144168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 和彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (10284324)
坂田 ひろみ 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50294666)
三木 崇範 香川大学, 医学部, 助教授 (30274294)
今川 智敬 鳥取大学, 農学部, 助教授 (20232605)
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Keywords | 胎児性アルコール症候群 / セロトニン / チロシン水酸化酵素 / FGF8 / BDNF / TGFβ / GFAP / ビメンチン |
Research Abstract |
SDラットの妊娠10〜20日に2.5〜5%(w/v)エタノールを含む液体飼料を与え、その仔を胎生15日および21日で実験に用いた。対照にはエタノールをシュークロースで置き換えた液体飼料を等量与えたラットの仔を用いた。胎生15日齢ラット脳をブアン液にて浸漬固定した後、前頭断パラフィン切片を作製し、抗セロトニン(5-HT)抗体および抗チロシン水酸化酵素(TH)抗体を用いて免疫染色を行ったところ、エタノール曝露ラット胎仔では正中縫線核および背側縫線核での5HT陽性細胞の減少および外側網様体核と青班核でのTH陽性細胞数の減少が認められた。また、胎生21日齢ラット脳ホモジネートから総RNAを抽出し、RT-PCR法によりFGF8、BDNF、TGFβの遺伝子発現を調べたところ、いずれもエタノール曝露群で低下傾向にあった。よってこれらの因子がエタノールの発達神経毒性に関与している可能性が示唆された。 また、生後1〜3日齢のマウスの大脳、海馬、小脳、延髄から分離した培養星状膠細胞を200〜800mg/dlのエタノールに曝露した後、抗GFAP抗体、抗ビメンチン抗体、および抗Notch-1抗体を用いて免疫染色を行って観察したところ、GFAP陽性反応の減少とビメンチン陽性反応の増加が認められたが、800mg/dlのエタノールに曝露した小脳および延髄由来の細胞では逆にGFAP陽性反応が増加していた。また、高濃度(400および800mg/dl)のエタノールに曝露した細胞ではNotch-1陽性反応が認められた。以上より、エタノールは星状膠細胞の成熟を妨げ、幼弱な星状膠細胞を増加させることが明らかになった。また、高濃度のエタノール曝露でGFAP陽性反応が増加したことはNotch-1の発現と関係するかもしれないことが考えられた。
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Research Products
(4 results)