2004 Fiscal Year Annual Research Report
早産児における脳室周囲白質軟化症の早期診断法の開発
Project/Area Number |
16390311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
戸苅 創 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50106233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 伸治 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60238615)
福田 純男 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90336678)
古幡 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70056985)
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Keywords | 脳室周囲白質軟化症 / 超音波診断 / 新生児 |
Research Abstract |
最近の新生児医療の発達により、従来は生存し得なかった出生体重が1500グラム未満の極低出生体重児や1000グラム未満の超低出生体重児も救命されるようになった。しかしながらこれらの児にみられる脳室周囲白質軟化症は将来の脳性麻痺、視力障害、聴力障害、てんかんなど重篤な神経学的後遺症をもたらす恐れがあり、その原因の究明と発症予防は臨床上のみならず社会的にも重要な課題となっている。また脳性麻痺は診断よりもその発症をいかに予防するかが重要であり、これらの点は今後の新生児医療において重要な課題である。 今回我々は直接に障害の疑われる部位の循環動態について検討するため、超音波造影剤を用いた新たな検査方法を開発した。これらの検査により脳室周囲白質軟化症を発症する児では大脳皮質の血流が早い段階で低下していることが示された。従来、脳室周囲白質軟化症は超音波検査により嚢胞形成が認められることで診断されてきたが、最近では嚢胞形成のないびまん型の病態も注目されている。本検査法はこのびまん性の脳室周囲白質軟化症の早期診断に有効であると思われる。 造影剤としては、ガラクトースパルミチン酸混合物を用いている。医薬品としての安全性は確立されており、他の成人領域ではすでに施行されている。これらの事項を、両親に詳細に説明した後、同意の得られた児においてのみ検査を施行している。この研究により脳室周囲白質軟化症にも嚢胞を作らない病態のものがあることが確認された。これは従来のCT, MRI等の方法では発見できなかった病態である。これらにより本検査方法が臨床上、極めて有用であることが示された。本検査法により脳室周囲白質軟化症を早期に発見し、早期に治療を開始することができる。また本病態の予防方法について更に研究を続ける所存である。
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