2005 Fiscal Year Annual Research Report
早産児における脳室周囲白質軟化症の早期診断法の開発
Project/Area Number |
16390311
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
戸苅 創 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50106233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 伸治 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60238615)
福田 純男 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90336678)
古幡 博 東京慈恵医科大学, 医学部, 教授 (70056985)
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Keywords | 脳室周囲白質軟化症 / 超音波診断 / 新生児 |
Research Abstract |
最近の新生児医療の進歩はめざましく、以前は救命し得なかった出生体重1000グラム以下の超低出生体重児においてもその多くが生存できる様になった。しかしその全身各臓器の未熟性のため肺など各臓器に対する障害も大きく、特に神経学的予後については必ずしも改善が見られていない。最近ではこれら超低出生体重児、極低出生体重児に脳性麻痺、精神発達遅滞、聴力障害、視力障害、てんかん、ひいては学習障害、自閉症などの高度脳障害が後に認められる事が指摘されている。この病態、脳室周囲白質軟化症の原因は低出生体重児における大脳脳室周囲白質に対する梗塞性病変と考えられ、この病態の診断原因究明ひいては予防法の確立が今後の重要な課題と考えられる。 脳室周囲白質軟化症は従来大脳白質の嚢胞形成をもって診断されてきた。しかしながら明確な嚢胞の形成の認められない症例においても、神経学的予後が不良である例が報告されるようなってきた。最近ではびまん性の梗塞病変の存在が考えられる様になり、脳室周囲白質軟化症の疾患概念自体も変化している。従来より超音波診断装置、CT、MRIなどの画像診断法により本疾患の早期診断が試みられて来た。確かに明確な梗塞病変を形成した児においてはこれらの診断方法は有効であったが、嚢胞形成を伴わない、あるいは極めて微細な病変が散在する場合、その画像解像度、すなわち分解能の問題から本疾患を診断する事が極めて困難であった。そのため有る程度日齢が進んだ後、重症例についてMRIで診断される事が多いのが現状であった。 今回、我々が超音波造影法を用いて検討した結果、通常の画像診断では捉える事ができなかった、微細な梗塞病変の存在を血流の低下という観点から把握する事に成功した。従来の画像診断方法では異常が認められなかった部分においても血流量が低下しており、微細な梗塞病変が存在する事を明らかにした。これらの結果については全国的学会において報告している。
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