2006 Fiscal Year Annual Research Report
早産児における脳室周囲白質軟化症の早期診断法の開発
Project/Area Number |
16390311
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
戸苅 創 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50106233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 純男 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (90336678)
古幡 博 東京慈恵医科大学, 医学部, 教授 (70056985)
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Keywords | 脳室周囲白質軟化症 / 超音波診断 / 新生児 |
Research Abstract |
超低出生体重児、極低出生体重児に脳性麻痺などの高度脳障害が後に認められ、この大半がこれら低出生体重児に得意的に発症する虚血性梗塞性病変である脳室周囲白質軟化症(PVL)と考えられている。一方、急性期離脱後一過性循環不全(late-onset circulatory dysfunction of premature infants : LCD)を原因とするPVLが存在し、LCDを原因としないPVLよりも重度である印象を持っている。そこで、LCDを伴うPVLか否かで頭部MRI所見および神経学的予後に差があるかどうかを検討した。在胎33週未満で出生し、名古屋市立大学関連6施設でフォローされている児でPVLと診断された症例は36例あり、そのうち10例(27.8%)がLCD with PVL、26例(72.2%)がPVL without LCDであった。画像および予後の詳細よりLCDのエピソードを伴ったPVLでは脳性麻痺がより重度であることが確認された。 また、脳室周囲白質軟化症においては酸化ストレスがその病態に関与していることが示唆されている。我々は新生仔豚敗血症モデルを用いて酸化ストレスマーカー、サイトカインの敗血症における変化を明らかにすることで、その予防法の確立の一助とすることを企画した。日齢3の新生仔豚14頭に対して盲腸虚血・切開による敗血症モデルを作成した。敗血症群は腹部を近正中で4cm切開し、回腸末端を露出し回盲動脈を結紮後、回腸末端部の腸間膜の反対側を約1cm切開し閉腹した。コントロール群では回腸末端部を2分間露出した後閉腹した。敗血症群(7例)とコントロール群(7例)に対して経時的(腹部手術前、術後1,3,6時間)に血圧、体温を記録し、血液ガス、血漿Lipoplysaccharide(LPS)、血清サイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-10)、total hydroperoxide (TH)、biological antioxidant potential (BAP)を測定した。その結果、敗血症において酸化ストレスと炎症、抗炎症サイトカインは密接な関係があることが示唆された。これら敗血症での酸化ストレスは時間の変化とともに大きく変動し、常にoxidant/antioxidant imbalanceが存在するわけではないことが示唆された。これらの結果は、新生児敗血症モデルを用いた酸化ストレスの変化についての検討は敗血症における病態の解明、治療の確立などに今後役立つものと考えられ、学会、誌上で公表した。
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