2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNA編集酵素DSRADの遺伝子変異による遺伝性対側性色素異常症の発症機構の解明
Project/Area Number |
16390315
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
富田 靖 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70108512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 民夫 山形大学, 医学部, 教授 (30206502)
安江 敬 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (40335039)
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Keywords | アデノシン脱アミノ化酵素 / 色素異常症 / ADAR1 / DSRAD / RNA編集 |
Research Abstract |
遺伝性対側性色素異常症Dyschrdmatosis Symmetrica Hereditaria.(以下DSHと略す)は、1910年に東北帝国大学医学部皮膚科の初代教授遠山郁三が初めて報告した優性遺伝性疾患である。本症においては手背、足背に粟粒大から米粒大の色素斑と白斑が混在する。色素細胞の異常が推定されるものの、その病因および病態は不明である。我々は平成15年6月に病因遺伝子が二重鎖RNA特異的アデノシン脱アミノ酵素(DSRAD)であることを、世界に先駆けて解明した。 DSRADはRNAの二重鎖部分にあるアデノシン(A)をイノシン(I)に変える結果、その部分のmRNAの遺伝暗号を変更したり、mRNAのスプライスサイトを変える,いわゆるRNA edittingに関与する。この酵素活性の低下によりなぜDSHが発症するのか、その機構を明らかにするのが本研究の目的である。 2003年に病因遺伝子を明らかにして以来、日本人DSH患者において30種類の病因となるDSRAD/ADAR1遺伝子変異を我々は報告した。DSRAD/ADAR1遺伝子からは常時発現しているp110とインターフェロンにより誘導されるp150の2つの酵素型が作られる。我々の30症例中2症例において、遺伝子変異部位の考察から、p110が合成されるものの、p150は終止コドンの出現で合成されないはずであることを見いだした。その事から、本症の発症にはp150の関与が考えられる。なおp150は普段は発現しておらず、インターフェロンにより誘導される。インターフェロンはウィルス感染時に産生増加するので、DSHはウィルス感染が引き金になることが示唆された。
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Research Products
(3 results)