2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳形態学及び^1H‐MRSを用いた統合失調症の遺伝的表現型に関する探索的研究
Project/Area Number |
16390322
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
武井 教使 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80206937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 正好 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30283352)
森 則夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00174376)
磯田 治夫 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (40223060)
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
中村 和彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80263911)
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Keywords | 統合失調症 / ハイリスク / 脳形態学 / MRI / MRS / 海馬 / 神経心理学検査 / WAIS |
Research Abstract |
1.対象の選定 対象となる統合失調症患者(30例)、患者の同胞(high risk siblings)(30例)、及び健常対象者(30例)は既に選定し、研究への参加の同意を得ている。 2.脳形態学的検索 現在、対象に頭部MRIを施行し、脳画像のデータを収集している。測定にはHorizon1.5T核磁気共鳴装置(GE社製)を使用し、得られたデータは画像解析ソフト(SPM99)を用いvoxel-based morphometry手法により解析する。形態学的な検索として、層全脳(灰白質、白質、CSF)体積を測定し、さらに、とりわけ病因との関連から着目される海馬、扁桃核、側頭皮質上側頭回、前頭前野、脳梁は関心領域(ROI)法を用い、個別に体積を測定する。これまでの予備的解析結果では、統合朱調症患者では健常者に比較して、海馬の灰白質の体積減少と左基庫核周辺の白質の体積減少が認められている。 3.MRS: 左側海馬と左側基底核を関心領域に定め、この2領域に2×2×2cm^3のvoxelを設置し1H-MRSを施行している。現段階の予備的解析に基づくものであるが、統合失調症患者では健常者より左側海馬のN-acethyl-aspartate(NAA)濃度とcholine(Cho)濃度の低下が確認されている。さらに、この領域でのcreatinine(Cr)濃度は統合失調症患者の方が健常者より高い傾向にある。左側基底核においてはNAA、Cho、Crのいずれも統合失調症患者と健常者の間で差は見られていない。 4.神経心理学検査: 全般的知的機能に関して、統合失調症患者では健常者よりもウェクスラー成人知能検査(WAIS-R)における総合IQが低く、特に動作性IQが低得点である。また、ウィスコンシン・カード分類検査の結果では、統合失調症患者は健常者に比べてカテゴリーエラー、保続、カテゴリー達成数の全て得点が低いことから、実行機能の障害が示されている。さらに統合失調症患者では健常者よりもウェクスラー記憶検査法(WMS)の結果から、言語性記憶の障害が示唆され、特に論理的記憶に障害が認められている。 5.high risk siblingsを含めたデータ収集を継続し、最終的な解析、さらに、MRSを主とし種々のデータ間での相関を検証し、統合失調症の遺伝的表現型の探求にあたる。
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Research Products
(5 results)