2005 Fiscal Year Annual Research Report
躁うつ病関連遺伝子XBP1の脳における意義についての研究
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16390328
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
加藤 忠史 独立行政法人理化学研究所, 老化・精神疾患研究グループ, グループディレクター (30214381)
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Keywords | 双極性障害 / XBP1 / 神経発達 / 神経可塑性 |
Research Abstract |
筆者らはこれまでに、一卵性双生児双極性障害不一致例のリンパ芽球における遺伝子発現解析により、小胞体ストレス反応に関わる遺伝子、XBP1が患者で低下していること、および双極性障害患者由来培養リンパ芽球では小胞体ストレスに対するXBP1上昇反応が減弱していることを見出した。しかしながら、XBP1が神経細胞において どのような生理的意義を持つかについては十分にわかっていない。そこで、神経細胞におけるXBP1の機能を探索した。XBP1は小胞体ストレスに際して小胞体膜上のIRE1蛋白によりスプライスされ、初めて活性型転写因子をコードするmRNAとなるという特異な性質を持つことから、「XBP1は樹状突起に存在し、可塑的変化に伴う小胞体ストレスでスプライスされて活性型mRNAとなり、樹状突起で翻訳されて核移行し、神経可塑的変化のシグナルを伝える転写因子である」との仮説を立てた。この仮説を検証するため、in situ hybridization法によりXBP1の脳内発現パターンを、XBP1抗体を用いて初代培養神経細胞内の局在を調べた。その結果、XBP1のmRNAは発達期に多く発現し、神経突起にも分布していた。初代培養神経細胞では、XBP1蛋白質は樹状突起や軸索の成長円錐に局在していた。また、アンフェタミン投与はスパイン数増加などの神経可塑的変化を引き起こすことが知られているが、マウスにおけるメタアンフェタミン投与は、海馬および前頭葉皮質でXBP1のスプライスを促進した。これらの結果から、XBP1が、神経発達および神経可塑的変化に関与し、これらの異常が精神疾患の病態に関与する可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)