2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390337
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐治 英郎 京都大学, 薬学研究科, 教授 (40115853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久下 裕司 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (70321958)
多田村 栄二 京都大学, 医学研究科, 助手 (70303831)
久米 典昭 京都大学, 医学研究科, 講師 (20252455)
野原 隆司 田附興風会, 医学研究所・第3研究部, 研究主幹 (80180769)
向 高弘 九州大学, 薬学研究院, 助教授 (30284706)
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Keywords | 血栓 / 不安定プラーク / 分子イメージング / 超小型放射線検出器 / マクロファージ / スカベンジャー受容体 / LOX-1 |
Research Abstract |
本研究の目的は、虚血性心疾患や脳血管障害などの疾患の基盤的な原因である動脈硬化の質的な診断、特に血栓形成に関与する動脈血管内膜内の不安定プラークの選択的な画像診断のための『分子イメージング』に適した放射性薬剤およびそれによる高感度核医学イメージング法を開発し、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患の予測診断、薬物などの治療効果の定量的評価などに有効な方法を確立することにある。前年度までに、不安定プラークを選択的にイメージングするために、その部位に特異的に発現し不安定プラークの生成に関与する、酸化脂質(LDL)のスカベンジャー受容体LOX-1に着目し、イメージングの対象分子としてのLOX-1の有効性について、実験動物モデル(WHHLウサギ)を用いて組織化学的手法により検討した結果、LOX-1は血管内膜が肥厚した部位でマクロファージが多く存在する不安定プラークの領域に特異的に高密度で存在することを見出し、イメージングの対象分子として、LOX-1が有効であることを見出した。そこで、本年度は、LOX-1の発現分布を画像化する放射性薬剤の開発を計画した。放射性核種としては、画像診断に適した99m-Tcを選択した。放射性薬剤の母体分子として抗LOX-1抗体を選択し、抗原認識部位とは独立して99m-Tcを安定に結合させるHydrazinonicotinic acid(HYNIC)を導入するという二官能性キレート分子の概念のもとに、99m-Tc標識抗LOX-1抗体を設計、合成した。次に、99m-Tc標識抗LOX-1抗体を動物に投与し、SPECTによるイメージングを行った結果、WHHLMIウサギではコントロールウサギに比べて鮮明な大動脈の画像が得られた。また、大動脈の病理標本を作製してオートラジオグラフィー(ARG)および組織学的検討を行った結果、99m-Tc標識抗LOX-1抗体はLOX-1の発現に応じた分布を示していた。さらに、各病変における放射能集積量を組織学的な不安定性の指標と比較したところ、両者は高い相関を認めた。以上の結果から、99m-Tc標識抗LOX-1抗体が不安定性動脈硬化プラークの核医学画像診断薬として有用である可能性が示された。
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Research Products
(6 results)