2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390338
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
手島 昭樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40136049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 成昭 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70190402)
大野 ゆう子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60183026)
東山 繁樹 愛媛大学, 医学部, 教授 (60202272)
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Keywords | X線 / 炭素イオン線 / DNAチップ / 遺伝子 / RT-PCR / 照射野辺縁 / 転移能 / 腫瘍血流遮断薬 |
Research Abstract |
昨年のヒト肺腺癌細胞(A549)のDNAチップの結果より、本年度は発現に変化が見られた遺伝子の中から、浸潤・転移関連因子に着目し細胞機能に与える影響の検討を行った。また、ヒト神経膠腫細胞(A172, T98G)を用いた照射野辺縁部における細胞動態の検討、腫瘍血流遮断作用を持つTZT-1027と放射線の併用効果の検討も行った。 (1)DNAチップによる遺伝子発現:cDNA microarrayにより遺伝子発現を網羅的に解析し、発現変化があった遺伝子の中で、up-regulationにより浸潤能が抑制されるgrowth arrest and dna damage-inducible, alpha(Gadd45a)の発現がX線照射で亢進し、down-regulationにより遊走三浸潤能が抑制されるanillin, actin binding Protein(ANLN)の発現が炭素イオン線照射で抑制された。RT-PCRの結果、Gadd45aはコントロールと比較してX線で発現が94%に抑制され、炭素イオン線では111%に亢進した。ANLNは炭素イオン線により発現が60%に抑制されたが、X線では殆ど変化なかった。また、細胞機能の検討から転移能の抑制効果は炭素イオン線の方が高いことが示され、このメカニズムの1つとして転移能の抑制に作用する遺伝子の制御が炭素イオン線では強い事が示唆された。 (2)照射野辺縁における癌細胞動態の検討:昨年作成の照射野辺縁モデルにより細胞生存率、転移能を評価した。X線では辺縁細胞において増殖能、遊走能が亢進したが、炭素イオン線では抑制された。また新たに高線量照射近接に低線量を照射する照射野辺縁近似モデルを作成し検討を行った。X線では低線量照射において増殖能が亢進したが、炭素イオン線ではすべての転移能は抑制されており、その抑制効果は炭素イオン線の方が強い事が示された。このことから、照射野辺縁における癌細胞の転移能はX線では亢進傾向であるが、炭素イオン線では抑制される事が示唆された。 (3)TZT-1027と放射線の併用効果の検討:TZT-1027と放射線を併用し、生存率、増殖能、細胞周期を評価した。生存率、増殖能では相乗効果は認められなかったが、細胞周期では併用によりG2/M期の細胞数が増加したことがら、微小管の重合阻害と細胞膜形成阻害の両方により細胞分裂阻害の効果が高まっている可能性が示唆された。
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Research Products
(21 results)