2005 Fiscal Year Annual Research Report
X線のスペクトル情報を利用した次世代X線CTの開発
Project/Area Number |
16390344
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
尾川 浩一 法政大学, 工学部, 教授 (00158817)
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Keywords | X線CT / エネルギースペクトル / 半導体検出器 / フォトンカウンティング / 超高分解能 / コントラスト分解能 / ビームハードニング / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
本年度は試作したフォトンカウンティング型X線検出器を用いた詳細な実験とシミュレーションとの比較を行った。試作した検出器は、エネルギー弁別を行うThresholdを1本持つものであり、このthresholdエネルギーを変化させながら、X線管の電流値に対する応答特性、温度特性、雑音特性などを計測した。また、この検出器をもちいて、水、アルコール、ハイドロキシアパタイト、鉄粉などから混成されるファントムを作製しそれぞれの物理量が厳密に測定可能かどうかを明らかにした。X線の散乱線の影響については5%程度混入しており、物理計測値(それぞれのエネルギーにおける線源弱係数)を低下させることがわかった。また、実際の実験系ではシミュレーションと比較して、低エネルギーのX線を正確に計測することができないために、荷重関数を設定しても水とアルコールのような成分の分離においてコントラストをつけることが困難であることが明らかになった。これは低エネルギーのX線成分は検出器の回路系の雑音と区別することが困難であり、低めのエネルギーの光子成分は抑制される傾向にあるためである。シミュレーションから検出器の個々の画素の感度不均一性がCT画像の再構成に対して非常に敏感に働き、リングアーチファクトを容易に発生させる傾向があったが、この程度は感度むらで0.1%程度であり、この感度均一性をCdTe半導体検出器で実現するためにはかなり困難であることもわかった。CdTe結晶には、結晶生成上の不均一性があるが精度をさらに向上させる必要があることも明らかになった。また、積分型の超高分解能CdTe検出器も試作したが、この検出器では100ミクロンの高い空間分解能の画像を映像化することに成功した。さらに、この検出器を用いて小魚の断層面の画像を映像化することを試みた。
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Research Products
(5 results)