Research Abstract |
本研究では,多種部位深部癌の非接触加温治療を目指して,リエントラント型ハイパーサーミアシステムの設計試作を目的としている.以下に,本年度の主な成果を示す. 1,空胴共振器型加温システムによる総合評価実験 (1)胴体ファントムの加温:直径140cm,高さ100cm,8分割式空胴共振器を作成し,人体胴体部程度の大きさを有する寒天ファントムに対して,加温実験およびコンピュータシミュレーションの両面からその深部を非接触状態で有効に加温できることを確認した. (2)頭部ファントムの加温:前年度までに試作した直径40cm,高さ80cmの小型空胴共振器を用いて,加温実験およびコンピュータシミュレーションの両面から,複数の共振周波数に応じた異なる加温パターンの得られることを初めて実証した. (3)周囲への漏れ電磁界の影響:上記(1)および(2)で試作した空胴共振器の側面に,人体挿入用の円形ウインドウを設けた.このウインドウ部から周囲へ漏れ出る電磁界の検討を行った.その結果,周囲20cm程度離れた空間での漏れ電界強度は15V/m以下であることを確認した. 2.研究総括 本研究の最終年度である本年度は,本試作加温装置の総合評価から臨床応用への可能性を検討した.その結果,所期の研究目的を達成することができ,工学的には臨床応用に近いと確信している.今後,次の研究課題として,医学部との連携をさらに確立し,臨床試験を目指したいと考えている.さらに,関連学会において,本研究成果を発表した際に,非接触状態で深部加温が可能であることから,糖尿病に対しても,有効な治療が期待できるとの評価を得た.早急に取り組みたいと考えている.
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