2006 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経作用薬の効果を評価するためのバイオマーカーとしてのPET測定法の開発
Project/Area Number |
16390350
|
Research Institution | Institute of Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
千田 道雄 (財)先端医療振興財団, 先端医療センター研究所, 副所長 (00216558)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 英之 財団法人先端医療振興財団, 分子イメージング研究グループ, 研究員 (00393348)
前田 潔 神戸大学, 大学院医学系研究科・精神神経科学, 教授 (80116251)
|
Keywords | PET / 臨床薬理試験 / ヒスタミンH1受容体 / ドキセピン / 抗ヒスタミン剤 |
Research Abstract |
PETを用いて医薬品の薬理作用や薬効をヒトで評価するために必要な要素技術を確立させるため、以下の項目について検討を行った。 院内製剤として製造するPET用放射性薬剤を医薬品の臨床試験に用いる場合の品質管理に関しては規制当局のガイドラインがない。そこで、米国のcGMPをベースに作成された日本アイソトープ協会の2001年版基準に基づいて、C-11ドキセピン(DOX)、F-18フロロチミジン(FLT)、F-18フロロミソニダゾール(FMISO)、およびC-11PIB(アミロイドのトレーサ)を合成し品質管理する仕組みを構築し、先端医療センターのPET薬剤委員会の承認を得た。このうちFMISOはわが国で初めてヒトに使用した。 医薬品の中枢作用をPET測定できることを示し、実際的問題点を明らかにするために、薬の連投の効果をPET測定する臨床薬理学的研究を行った。抗ヒスタミン剤のオロパタジンの中枢鎮静作用は連用により軽減するといわれる。そこで、脳ヒスタミンH1受容体をPETでDOXを用いて測定し、オロパタジン服用による効果を評価した。17名の鼻炎患者に、プラセボ、初回オロパタジン実薬投与直後、および4週間の実薬服用後の実薬投与直後の3回、DOXによるPET測定を行った。51回にわたるDOXの合成は一定の品質で行うことができた。試験薬(プラセボと実薬)は市販のカプセルを用いて院内で調製し管理した。被験者の来院日には耳鼻科の外来を設け、また試験期間中は副作用や併用薬などの問い合わせに医師が応じられる体制を構築した。結果は、初回オロパタジン投与によりH1受容体結合能が軽度低下し、薬によって受容体が一部占拠されたことが示唆された。4週間連投後はH1受容体結合能が著名に低下し、受容体のダウンレギュレーションが起こっていることが示唆され、医薬品の薬理効果をPET測定できることが示された。
|
Research Products
(6 results)