2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390368
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
嶋村 剛 北海道大学, 病院・助教授 (00333617)
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (80256510)
山下 健一郎 北海道大学, 病院・医員 (00399940)
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Keywords | 小腸 / 虚血再灌流障害 / NF-κB / ラット |
Research Abstract |
昨年度、本研究において我々はアデノウィルスベクターを用いた遺伝子治療によりT細胞の活性化・増殖に重要なB7-CD28およびCD40-CD154の副刺激(costimulatorysignal)をブロックすることで移植小腸アログラフトの長期生着が得られ、本遺伝子治療による免疫抑制法が小腸移植において非常に有効であることを報告した。しかし、最近欧米でのアデノウイルスを用いた遺伝子治療で合併症例が報告され、より安全な免疫抑制という観点から遺伝子治療の開発は断念せざるを得なかった。そこで今年度は慶應義塾大学の梅澤らが最近開発したNuclear factor-κB(NF-κB)阻害剤であるdehydroxymethylepoxyquinomicin(DHMEQ)を用い、小腸の虚血再灌流障害に対する効果を検討した。NF-κBは炎症惹起因子である敗血症、活性酸素などの刺激により腸管で活性化され、炎症反応に関わるサイトカイン、接着因子、ケモカイン、growth factor、や炎症誘導酵素であるcyclooxygenase-2、NO合成の誘導などに関わっていることが知られている。体重250〜300gの雄性ラットを用いた60分の小腸虚血再灌流モデルを作成した。実験群は無治療群をコントロールとし、治療群は血流遮断1時間前と再灌流5分前にDHMEQ(10mg/kg)を腹腔内投与した。動物生存日数、レーザードプラー血流量計による小腸組織血流量、組織学的障害度、血液中のIL-6,TNF-α濃度を測定・検討した。無治療群で25%(2/8)の生存に対し治療群では87.5%(7/8)と有意に生存日数の延長を認めた。治療群では無治療群に比べ再灌流5および60分後の組織血流量が維持され、再灌流15分後の組織障害も有意に抑制されていた。また、血液中のIL-6,TNF-α濃度上昇も抑制された。DHMEQによるNF-κB阻害は小腸の虚血再灌流障害抑制に有用である。
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