2006 Fiscal Year Annual Research Report
COX-2選択阻害剤を用いた各種固形癌に対する新しい化学療法の開発
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16390374
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉原 健一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10171167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 雅之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (60301165)
植竹 宏之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座教員 (60311651)
樋口 哲郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (90334416)
吉村 哲規 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (00431908)
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Keywords | cyclooxygenase 2 / 5-lipoxygenase / 大腸癌 / 血管新生 / 血管鋳型 |
Research Abstract |
1.これまでに、アラキドン酸の代謝酵素であるcyclooxygenase 2(COX-2)は大腸癌、胃癌、乳癌の発育進展に重要な役割を果たしていることを明らかにし、COX-2阻害剤により大腸癌肺転移の発育を阻止できることを動物実験でしめした。今年度、は大腸癌の血行性転移で最も多い肝転移に注目し、COX-2阻害剤が肝転移の増大を阻止できるか否かを検討した。大腸癌高転移細胞株(RCN-H4)をラットの門脈に注入して、肝転移を作成し、各種濃度のCOX-2阻害剤(Meloxicam)を経口投与し、肝の血管鋳型を作成し、肝転移巣の数、大きさ、腫瘍血管密度を検討した。試験群では有意差をもって、転移巣数、大きさ、血管密度が減少していた。このことは、COX-2阻害剤は血管新生を阻害することにより肝転移巣の増大を阻止している可能性が示唆され、COX-2阻害剤は肝転移の新たな治療薬になりうると考える。 2.5-lipoxygenase(Loxs)はアラキドン酸代謝のもう一つの酵素である。大腸癌においてCOX-2とLoxsの発現を、real time PCRと免疫染色で検討した。91例の大腸癌のうち72.5%にLoxsmRNAが高発現していた。また、それらの高発現は腫瘍の大きさと深達度に有意に相関していた。Loxs蛋白は68.7%に、COX-2蛋白は79.1%に高発現しており、それらの染色性は有意に相関していた。これらの観察結果から、Loxsは大腸癌の成長・増大と関連していると考えられ、COX-2阻害剤だけではなくLoxs阻害剤も臨床応用できる可能性があることを明らかにした。
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