2005 Fiscal Year Annual Research Report
星細胞機能制御による新しい肝癌術後管理と再発予防の研究
Project/Area Number |
16390376
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 助手 (80359801)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 則文 大阪市立大学, 医学研究科, 助教授 (30271191)
中村 肇 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70303914)
宇山 直樹 京都大学, 医学研究科, 医員 (70402873)
|
Keywords | 肝癌 / 急性期肝障害 / NAC / 肝不全 / 慢性肝炎 |
Research Abstract |
肝切除術後の周術期におけるN-アセチルシステイン(以下NAC)の効果を検討した。NACはアセチルシステイン内服液17.6%「センジュ」(千寿製薬(株)、日本標準商品分類番号873929、承認番号21400AM00471)を用いた。本製剤は、アセトアミノフェン中毒解毒剤にて2002年6月に薬価収載となっている。症例は53歳男性で横隔膜浸潤、下大静脈腫瘍栓を伴う巨大肝細胞癌を後区域に認めた。手術中、右肝静脈下大静脈腫瘍栓による肝うつ血が高度であったため止血コントロール困難で、術中ショック状態におちいったが、無事後区域切除術(横隔膜合併切除術)を終了した。術後2日目より全身状態悪化と同時に黄疸出現し、その後T-Bil 32mg/dlにまで上昇、肝不全に陥った。この症例に対して血漿交換を施行した後、インフォームドコンセントを得てNACの腸ろうからの大量経腸栄養療法を行った。NACの投与方法は、初回投与140mg/Kg、4時間ごとに70mg/Kgを72時間継続投与した。1クール施行した後、T-Bil 15-20mg/dlにまで減少、肝不全症状の軽快認めたため、投与量を減量し2クールをさらに追加した。肝不全症状・全身症状はさらに軽快し、2ヵ月後には10mg/dlまで改善した。以上より肝切除術後の肝不全症例に対して有効である可能性が認められ、さらに検討することにしている。その他にウイルスによる慢性肝炎患者にて肝酵素(GOT GPT)が上昇している症例(3例)に対してNAC経口投与による肝酵素変動の効果を検討した。現在、経過観察中であるが肝酵素値の低下を認めており、活動性慢性肝硬変患者に対しても有効である可能性が考えられた。今後さらに検討する予定である。
|
Research Products
(6 results)