2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍リンパ管新生の分子機構とその制御によるリンパ節転移の抑制
Project/Area Number |
16390378
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 肇 京都大学, 医学研究科, 科学技術振興助教授 (50362520)
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Keywords | リンパ管新生 / リンパ節転移 / ES細胞 / がん抑制遺伝子 / RNA編集 |
Research Abstract |
1.リンパ管マーカーpodoplaninのがん細胞での発現とリンパ節転移は相関する podoplaninに対する抗体を作成した。各種組織アレイを用いて、がん細胞でのpodoplaninの発現とリンパ節転移が相関することを示した(submitted)。また、この抗体によって、podoplaninが中皮腫のマーカーとなることがわかった。 2.ホメオボックス遺伝子prox1はがん細胞ではがん抑制遺伝子として働く prox1は様々ながん細胞で発現する。膵臓がん、肝臓がん、肺がんで、prox1の発現はがんの分化度と相関した。また、Prox1はがん細胞の増殖・トランスフォーメーションを抑制する。以上から、prox1はがん抑制遺伝子であることがわかった。さらに、prox1は膵臓がん、食道がんでRNA編集を受けることを発見した。この変異によって、prox1は機能を失う。ゲノム遺伝子の変異でなく、RNAの変異によってもがんの悪性度に影響を及ぼすという新しい概念を提唱した。(submitted) 3.Thy1陽性Podoplanin陰性間質細胞は肝前駆細胞の未分化を維持する 胎児期(E13.5)の肝臓から、肝臓前駆細胞とThy1陽性間質細胞を分離した。さらに、Thy1陽性間質細胞はpodoplaninの発現によって2つに分離することがわかった。Podoplanin陽性間質細胞は肝臓前駆細胞の分化を誘導し、podoplanin陰性間質細胞は肝臓前駆細胞の未分化を維持することを示した。現在、これら間質細胞と肝臓がん進展との関連を調べている。(submitted) 4.リンパ管内皮細胞の分化過程の解析 ES細胞をOP9細胞上で培養することで、LECを分化誘導することに成功した。この系を用いて、リンパ管分化にVEGF-C,Angiopoietin-2が必須であることを明らかにした。しかし、これら分子のみでは不十分で、必須因子がOP9の培養液内に存在することがわかった。また、Notch変異ES細胞を用いて、Notchシグナルが血管前駆細胞とリンパ管の分化を決定することも示した。(in revision)
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Lymphangiogenesis-Mediated Shedding of LAM Cell Clusters as a Mechanism for Dissemination in Lymphangioleiomyomatosis.2005
Author(s)
Kumasaka T, Seyama K, Mitani K, Souma S, Kashiwagi S, Hebisawa A, Sato T, Kubo H, Gomi K, Shibuya K, Fukuchi Y, Suda K
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Journal Title
Am J Surg Pathol. 29
Pages: 1356-1366