2004 Fiscal Year Annual Research Report
複数の増殖因子の計画的徐放を用いた新しい血管新生療法の開発
Project/Area Number |
16390395
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40281092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 正始 京都大学, 医学研究科, 教授 (20303810)
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
北 徹 京都大学, 医学研究科, 教授 (60161460)
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Keywords | 血管新生療法 / 増殖因子 / b-FGF / ドラッグデリバリー |
Research Abstract |
われわれは塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)徐放システムによる血管新生療法を開発し、動物の心筋梗塞モデル、下肢虚血モデルにおいて虚血組織の再還流と機能改善につながることを明らかにした。しかしながらbFGF単体の徐放では新生血管の長期にわたる安定性に問題が認められる。今回われわれはin vitroにおける基礎検討の結果、徐放担体として生体吸収性材料(type I collagen)を用い、bFGFと肝細胞増殖因子(HGF)を同時徐放することにより血管安定性の促進,増殖因子の用量減量が可能かどうかを検討した.【対象と方法】type I collagenを化学架橋したcollagen microsphereを徐放担体とし、bFGF単独、HGF単独、bFGF+HGF同時徐放システムをそれぞれ作製した。マウスの下肢虚血モデルにおいて虚血下肢に各徐放システムの筋肉内投与を行い、4週後までレーザードップラー血流計による右左下肢血流比および病理組織学的解析を行った.【結果】bFGF 5μgまたはHGF 20μg単独徐放では対象群に比し有意な血流改善を認めなかったが、bFGF 5μg+HGF 20μgの同時徐放群では単独徐放群に比し有意に血流比が増加し,bFGF 80μgまたはHGF 80μgと同等であった.また組織学的検討にて同時徐放では単独徐放に比し血管密度の増加,ならびに血管成熟度(α-SMA陽性血管の割合)が有意に高かった.【結語】bFGF+HGFの同時徐放により新生血管の成熟性促進、増殖因子の相乗効果が認められた。collagenによる炎症反応の惹起も認めず,より安全(生体材料)かつ遠隔成績を向上(血管成熟性の促進)すると考えられた.生体吸収性材料からの複数増殖因子徐放は,従来の血管新生療法の欠点を補い,より効果的な血管新生療法を可能とすることが示唆された.
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Research Products
(3 results)