2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経接着因子L1CAM遺伝子解析によるX連鎖性遺伝性水頭症の病態解析と治療法開発
Project/Area Number |
16390424
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(大阪医療センター臨床研究部) |
Principal Investigator |
山崎 麻美 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター, 臨床研究部, 室長 (10359309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠岡 英雄 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター, 臨床研究部, 副院長 (00112011)
是恒 之広 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター, 臨床研究部, 部長 (50243217)
金村 米博 独立行政法人産業技術総合研究所, ティッシュエンジニアリング研究センター, 研究員 (80344175)
上口 裕之 理化学研究所, チームリーダー (10233933)
岡本 伸彦 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 兼務研究長
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Keywords | X連鎖性遺伝性水頭症 / 神経接着因子 / 遺伝子解析 / 出生前診断 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
X染色体連鎖性遺伝性水頭症(以下XLH)は神経接着分子L1CAM(以下L1)遺伝子の異常による、先天性水頭症の中でも最も予後不良の病態を呈する疾患である。この研究の目的は、L1遺伝子異常を有する症例の詳細な病態解析を行い、水頭症病態の発症に如何に関与するのかを明らかにし、治療法の開発を目指すものである。これまでに39家系101検体を集積し、35家系87検体の遺伝子解析を行った。まず重症型L1症候群の23家系にL1遺伝子異常を同定した。それらの遺伝型は我々が提唱したIII群;細胞外領域でのナンセンス変異やフレームシフトやあるいは非翻訳領域のsplicing siteの異常でL1のtruncationをきたすもの、あるいはII群;遺伝子異常が細胞外領域の点変異のうち変異するアミノ酸がkey residueにあり、細胞外骨格が大きく変えるものであった。程度の軽い症例や水頭症を伴わない軽症型のものは3家系にL1遺伝子異常を同定しI群;遺伝子異常が細胞内領域にのみ限局するものかsilent mutationであった。重症型は著明な水頭症、シャント後の脳室壁の波状変化、視床間橋の肥大や小脳の低形成をしめし、拇指の内転屈曲、下肢の痙性麻痺、脳梁低形成、精神運動発達遅滞を呈した。L1細胞外領域の遺伝子変異による神経細胞接着の阻害は重症水頭症の原因となり、L1細胞内領域の機能異常は軸索路形成不全に関与することが示唆された。さらに最近の分子細胞生物学的研究から、軸索伸長過程におけるL1細胞内領域の機能的意義が解明された。さらに重症型の遺伝子変異によりL1機能を喪失した神経幹細胞を用いた実験系を確立した。その成果の一部はアイルランドで開催されたInternational meeting of hydrocephalus and spina bifida researchで発表した。
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Research Products
(10 results)