2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷による瘢痕形成の制御を目指したターゲット分子特定への網羅的アプローチ
Project/Area Number |
16390433
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
山本 真一 国立身体障害者リハビリテーションセンター(研究所), 運動機能系障害研究部, 主任研究官 (30282560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282661)
星地 亜都司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70236066)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
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Keywords | 脊髄損傷 / オリゴデンドロサイト / 前駆細胞 / 初代培養 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本年度は、まずマウス中枢神経系からのオリゴデンドロサイト初代培養系を確立することを目指した。採取する齢・部位を検討したところ、胎生16日大脳から比較的安定してオリゴデンドロサイト前駆細胞が回収された。接着力の差を利用し、また一晩振とうすることによって、ニューロン・アストロサイト・ファイブロブラストを除去し、目的とする細胞の純度を上げることができた。細胞の純度を確認するためオリゴデンドロサイト系譜の細胞に発現する転写因子Olig2に対する抗体を用いて免疫染色を行なったところ、陽性細胞率は80%であり、実験を行うにあたって充分な純度のオリゴデンドロサイト前駆細胞が得られた。一匹の妊娠マウスから得られる胎児15匹を用いて、およそ1x10^7個のオリゴデンドロサイト前駆細胞を得ることができた。その後甲状腺ホルモンを含む分化誘導培地をもちいて培養を継続し、MBP,CNPaseといった分化マーカーの蛋白発現と形態的な変化が観察された。CNPaseはMBPに比べ早期より発現が上昇しており、分化初期のマーカーとして利用できることが分かった。オリゴデンドロサイトは中枢神経において髄鞘の形成を担い、損傷後の組織修復を目指す上でこの細胞の増殖、分化誘導は必須である。今回確立した実験系を用いてオリゴデンドロサイトの増殖・分化制御の生化学的解析が可能となった。 損傷脊髄組織内では多様な炎症性サイトカインが発現し、オリゴデンドロサイト前駆細胞は増殖するも、分化・成熟が抑制されていると考えられている。今後は、サイトカイン添加、あるいはレトロウイルスやアデノウイルスを感染させ細胞周期関連分子など様々な細胞内シグナル分子を遺伝子導入することによって、オリゴデンドロサイトの分化促進に働く分子制御を検討する予定である。
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