2005 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイドのNO-サイクリックGMP系賦活による実験的肺高血圧治療
Project/Area Number |
16390449
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
丸山 一男 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20181828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 義英 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60273380)
丸山 淳子 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50263017)
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Keywords | 肺高血圧 / レチノイド / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
レチノイン酸は、asymmetric dimethylarginine(ADMA)という内因性NOS阻害物質を低下させNOSを上昇させる。そこで、レチノイン酸投与→ADMA低下→NOS活性上昇→NO産生上昇という経路が推定できる。我々はこれまで、内因性NO産生を高めるLアルジニンやANP(心房利尿ペプチド)遺伝子の肺への導入が、モノクロタリンや低酸素暴露による肺高血圧と肺高血圧血管病変の発生を抑制することを見出してきた。本研究では、レチノイドが慢性低酸素による肺高血圧と肺高血圧血管病変の発生を抑制するかを検討した。ラット(200-250g)に慢性低酸素暴露(10日間、1/2気圧)開始前2日から連日all-trans-retinoic acid(30mg/kg/日)を小動物用胃ゾンデにより経口投与を行った。慢性低酸素暴露により平均肺動脈圧は上昇したが、この上昇はレチノイン酸投与により抑制されなかった。筋性動脈の血管外径に対する中膜の厚さは、正常1.6±0.4%(n=7)から慢性低酸素暴露により5.1±0.4%(6)に上昇し、レチノイン酸投与(3.6±0.3%)(7)はこの上昇を有意に抑制した。一方、肺胞や肺胞管レベルの末梢肺動脈での血管平滑筋を持つ血管における、慢性低酸素暴露による出現率上昇をレチノイン酸は抑制しなかった。レチノイドには、慢性低酸素による肺動脈血管の肥大・増殖を抑制する可能性がある。モノクロタリン肺高血圧ラット肺のウエスタンブッロトでの一酸化窒素合成酵素の発現は亢進していた。レチノイン酸投与はこの発現をさらに増加した。16年度の結果では、レチノイン酸投与は、モノクロタリンによる肺高血圧と肺高血圧血管病変の発生を抑制しなかった。レチノイン酸はNOSを確かに高めるが、肺高血圧の原因(慢性低酸素、モノクロタリン)によってその効果が異なる可能性がある。
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Research Products
(3 results)