Research Abstract |
C3H/HeJマウス大腿骨髄内へ骨破壊性sarcoma(NCTC2472)を注入して骨癌性疼痛モデルを作製した.このモデルにおける疼痛関連行動学的解析を,足振り行動,ブラシに対するアロディニアの出現,歩行機能評価,さらにはロタロッドを用いた歩行能力の評価にて行い,腫瘍移植後の経過を観察測定した.次に,大腿骨のX線撮影を行い,腫瘍移植後の骨破壊性の経過を評価した.加えて,疼痛関連メディエータに対する受容体とチャネルの発現性を検討するために,摘出腰部脊髄後根神経節神経細胞のバニロイド受容体1(VR1,TRPV1)をWestern blot法にて定量化を,免疫組織化学による方法にて,その分布を評価した.現在のところ,腫瘍の移植2週目から疼痛行動が観察され,3週目まで同程度の疼痛程度であった,さらに,骨X線による骨破壊像は,時間とともにその破壊程度は進行し,移植後3週目には,骨折像が顕著に現れるようになった.バニロイド受容体1のタンパク発現量は,腫瘍細胞移植後から徐々に増大し続け,その分布は脊髄後根神経節の小型細胞に発現していたものが,移植後,小型細胞の発現性の増加と,さらに中型細胞にその発現がみられるようになってきた.現在までのデータより,sarcoma移植による骨癌性疼痛モデルでは,明らかに痛覚受容細胞の構造的および機能的な変化が生じており,骨癌性疼痛に対する管理の困難性を示唆している.
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