2005 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺傷害における細胞傷害および修復メカニズムの検討
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16390457
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 悟 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (90167578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志馬 伸朗 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00260795)
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (60347466)
上野 博司 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (20381965)
石坂 彰俊 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (90176181)
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Keywords | HMGB1 / モエシン / ATP |
Research Abstract |
敗血症性ARDSと診断され、24時間以内に集中治療室に入室した患者を対象に発症後、1,3,5、7日に気管支ファイバースコピーを施行し、気道内観察、培養検体採取、気道内分泌物除去などの通常治療とともにマイクロサンプリング手法を用いて肺上皮被覆液の微量採取を行った。施行にあたってはSteinbergらの肺胞洗浄に関する適合クライテリアに合致し、かつ家族からの承認が得られた場合に採取を行った。得られた検体を対象にHMGB1(High mobility group box 1 protein)の血中および肺胞上皮被覆液中の濃度を経時的に検討を加えた。その結果ARDS患者においてHMGB1は血中およびELF中で上昇していることが判明した。一方、健常人では血中HMGB1は認められなかったが、ELF中濃度はかなり高いことが判明した。基礎実験においてはLPS左気管支内限局投与マウスを用いた。特殊注入針を用いて麻酔下のマウス左主気管支内にLPSを限局投与し、24時間後にHMGB1血中濃度、肺胞洗浄液中濃度を測定したところ、敗血症性ARDSと同様に血中肺胞洗浄液中のHMGB1濃度の上昇を認めた。さらに本モデルに抗HMGB1抗体を前処置したところLPSによる肺傷害の程度は軽減した。以上の結果より急性肺障害においてはHMGB1はその発症機転に深く関与していることが示唆された。また正常時でも気道内に存在していることから生理的な役割も果たしている可能性が強くその一方的な制御には慎重であるべきことも示唆された。来年度はモエシンノックアウトマウスを用いた肺障害基礎実験、特にブレオマイシン肺障害におけるモエシンの関与、およびATPによる肺上皮細胞傷害についての検討を加える予定である。
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Research Products
(1 results)