2005 Fiscal Year Annual Research Report
精巣の低温環境に適応した遺伝子発現機構とその異常の臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
16390463
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 潤 京都大学, 医学研究科・kk (50173430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 克彦 京都大学, 医学研究科, 講師 (90281097)
西山 博之 京都大学, 医学研究科, 講師 (20324642)
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Keywords | ストレス / 遺伝子 / 生理学 / 発現制御 / 低温 / アポトーシス / 精巣 |
Research Abstract |
精巣では、生殖系列の細胞が活発に体細胞分裂、減数分裂、成熟精子への形態変化を行っており、厳密な遺伝子発現のコントロールがなされている。しかし、低温環境下では一般に細胞増殖、遺伝子発現ともに低下するのが普通であり、精巣内の体細胞、生殖細胞がどのような機序でその低温環境に適応しているのかは不明である。本研究では、精巣のおかれた低温環境下での遺伝子発現制御機序を明らかにし、さらにその変化の臨床的意義を解析することを目的とした。 1.DNAマイクロアレーとノーザン解析により32度で発現の亢進するヒト遺伝子数種を得た。それぞれの遺伝子を細胞で高発現あるいは発現抑制して、ストレス耐性の変化を検討中である。 2.低温ショック蛋白質Cirpゲノム中の軽度低温応答エレメントmild cold response elementに結合する蛋白をゲルシフト法で確認した。現在精製中である。 3.新たに同定した32度で発現の亢進する遺伝子mRNAの5‘UTR中に、32度で翻訳を亢進させる可能性のある配列を発見した。 4.32度で活発に増殖するマウス3T3線維芽細胞の変異株を作成した。 5.3T3線維芽細胞にTNFαストレスを加えた時に、32度環境がストレス抵抗性を与えることをみいだした。さらに、Cirp遺伝子ノックアウトマウス由来の細胞株を作成し、32度におけるストレス抵抗性の一部がCirpの発現誘導とそれによるErkの活性化によることを明らかにした。 今後さらに軽度低温に応答する転写因子、翻訳を促進する機構などの基礎的な研究だけではなく、軽度低温で活性化される分子全般につき臨床的な意義まで明らかにしていきたい。
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Research Products
(7 results)