2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
宮戸 健二 国立成育医療センター研究所, 室長 (60324844)
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Keywords | 受精 / 膜融合 / CD9 / CD81 / 微絨毛 / チューブリン / テトラスパニン / イメージング |
Research Abstract |
受精は、接着・膜融合・多精拒否などからなるが、分子機構の解明には至っていない。本研究は、膜4回貫通型蛋白質CD9を手がかりとして、受精の膜融合を制御する分子機構の解明と、その分子機構を基盤とした精子導入法の開発をめざしている。CD9欠損卵では、精子の透明帯への結合、透明帯の通過、卵細胞膜への結合は起こるが、膜融合が観察されず、抗CD9抗体によっても膜融合異常が誘導されることから、CD9は卵細胞膜で精子側の因子との相互作用に何らかの役割を担っており、膜融合過程のいずれかのステップに必須であると考えられる。CD9の機能を検討するため、マウス未受精卵に様々な変異体を発現させることにより、膜融合の有無を検討したところ、CD9の機能にはC末端にある23アミノ酸が必須であることを明らかにした。さらに、CD9のN末端にEGFPを融合させた蛋白質を卵子特異的に発現するトランスジェニックマウスを作製し、受精前後でのCD9の経時的な局在変化について調べたところ、受精前後でダイナミックに局在が変化することを明らかにした。すなわち、精子が卵細胞膜に結合した直後に、精子結合部位にCD9が集積し、5秒以内に精子頭部に移動すること、CD9の精子頭部への移動は抗CD9抗体により完全に阻害されることが明らかとなった。また、CD9は卵子に多数存在する微絨毛に特異的に局在し、電顕による観察から、CD9欠損卵では微絨毛が欠損していることを見つけた。そこで、CD9を卵特異的に発現させたところ、CD9欠損卵に再び微絨毛が形成され、融合能も回復したことから、受精の膜融合には微絨毛の形成が必須であることが明らかとなった。また、この微絨毛はチューブリンによって裏打ちされていることを示唆する結果が得られた。CD9結合蛋白質については、数種類の膜蛋白質を同定し、現在、欠損卵子を作製中である。
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