2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁図による両耳聴・聴覚・視覚マルチモーダル信号処理の脳内メカニズムの解明
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16390483
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川瀬 哲明 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (50169728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 陽一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20143034)
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Keywords | 脳磁図 / masking level difference / time-intensity trading / 機能性難聴 |
Research Abstract |
申請の研究では、両耳聴覚機能、視覚-聴覚のマルチモーダル信号処理機能を心理音響的アプローチと脳磁図を用いて明らかにすることを目的としている。本年度の成果は、以下のとおり。 1)外傷性遷延性意識障害患者におけるMasking level difference:雑音下での信号聴取に効果的な両耳機能であるmasking level differenceを脳磁図でも評価可能であることを示し、さらに、同現象が意識障害患者で確認されるか否かを検討した。その結果意識障害患者においても、正常被験者とほぼ同質のmasking level difference現象が確認され、本機能が注意や意識レベルと関係なく観察される現象であることを明らかにした。 2)両耳time-intensity trading現象の可塑性についての検討:音源定位には両耳間時間差、音圧差が重要な手ががりになっている。難聴による左右聴力の不均衡は、両耳間音圧差の手がかりに影響を及ぼすが、実際には、音像定位が大きく崩れることは無い。両耳聴力が不均衡な状態においては、時間差による手がかりが優位になっている可能性を考え、time-intensity trading現象を検討、聴力の左右差が、time-intensity tradingに何らかの影響を与えることが示唆された。 3)脳磁図を用いた両耳ラウドネス加算効果の検討:心理音響学的に良く知られた両耳ラウドネス加算を脳磁図N100mの振幅、潜時を指標に検討を行った。心理音響的には、約6dBの加算効果があるこが、脳磁図N100m上では、同様の加算効果は観察されなかった。ラウドネスは聴神経興奮の総和に関連していると考えられているが、その中枢での認知機構については、単純な聴覚野神経興奮の総和には反映されなかったものと思われた。 4)機能性難聴患者における聴覚野の異常に関する検討:器質的病変がないとされる機能性難聴患者の聴覚誘発磁界を記録し、左右それぞれの耳からの音刺激に対する左右聴覚野の機能を検討した。その結果、特に10歳以下の若年例の患者で、高率に片側または、両側のN100mの異常が検出された。
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Research Products
(2 results)