2005 Fiscal Year Annual Research Report
仮想現実空間で誘起される平衡障害の脳機能画像を用いた評価
Project/Area Number |
16390484
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
古屋 信彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80107606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 英男 群馬大学, 医学部, 講師 (40251102)
近松 一朗 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30301378)
高安 幸弘 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70375533)
豊田 実 群馬大学, 医学部, 助手 (70344942)
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Keywords | 認知医学 / バーチャルリアリティ / 仮想現実空間 / 平衡障害 |
Research Abstract |
「はじめに」 中枢性めまいとしてテント下病変についての研究、報告は多数みられるが、テント上の脳機能についてめまいと関連づけた研究は少ない。動物を用いた生理学的実験^<1)>や近年発達してきた脳機能画像^<2-4)>により、テント上に前庭皮質があることが明らかにされてきている。PIVC(parieto-insular vestibular cortex)は、複数報告されている前庭皮質の中でもその中心的役割を担っているとされている^<2)>。脳機能画像の一つである脳磁図(MEG)は、完全に無侵襲に脳皮質反応を測定でき、かつ得られた反応の大きさを絶対値で表すことができる。vection(疑似運動感覚)には視覚と前庭覚が関与しているため、現在我々はvectionの認知によって起こる反応を脳磁図で測定した。vectionの心理学的な面からの研究において、パターン全体を見るより注視点だけを見ているほうがvectionを強く感じることが報告されており^<5)>、同じ視覚刺激を呈示しても被験者への指示を変えることにより、被験者のvectionの強さに差を生じた。まだ被験者数は少ないが、脳磁図側定例においてPIVCに電流源が推定され、かつvectionが強いとその電流源のモーメントも強くなっていたため、報告する。 「結果」 1)刺激1下look条件で両側PIVC(parieto-insularvestibular cortex)に電流源が推定され、stare条件では左側のPIVCにのみ電流源が推定され、そのモーメントは小さくなっていた。 2)刺激2では、look条件では方向に関わらず右PIVCに電流源が推定され、stare条件でも右PIVCには電流源が推定されたがそのモーメントはやはり小さくなっていた。 「考察」 過去のPETやfMRIでの報告では、vectionを感じたときにPIVCの抑制が起こっていることが報告されている。今回の結果ではvectionの認知により活性化が起こっていることが示唆される。PETやfMRIとは時間軸が全く異なること、視覚刺激が異なることが他の脳機能画像との結果の違いの要因となっている、と考えられる。 さらに正常者のデータが蓄積され、その結果が他の生理学的実験、脳機能画像の結果等を鑑みて妥当な結果であれば、めまい患者の検査として有効であるか検討したい。
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Research Products
(5 results)