2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390489
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
暁 清文 愛媛大学, 医学部, 教授 (00108383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽藤 直人 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60284410)
篠森 裕介 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60335908)
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Keywords | 内耳虚血 / 血管条病変 / プロサポシン / NO / 活性化酸素 / 細胞移植 / GDNF / 急性難聴 |
Research Abstract |
本研究の目的は、突発性難聴の原因の一つとされている虚血性内耳障害の病態を解明するとともに、その治療法を開発し、臨床応用への道筋を付けることである。実験動物にはスナネズミを用いた。スナネズミは後交通動脈がなく前脳を後脳の動脈支配が独立しているので、両側の椎骨動脈を遮断することにより、開頭せずに内耳虚血を惹起できる。その結果、以下のような成果を得た。1)NOの役割と血管条の病態:外リンパのNOx (NOx3^-、NOx2^-)は虚血1日後に最大値に達し、7日目に元のレベルに戻った。一方、iNOS抑制剤であるaminoguanidineを投与するとNOxの産制は抑制され、内耳障害にNOの関与することが証明された。一方、血管条の病変は一時的で、障害された機能は7日目には元に戻った。2)プロサポシンの内耳障害防御効果:神経栄養因子様の効果を有するプロサポシンを虚血負荷30分、および1、2、3日目に投与し、ABRを経時的に測定したところ、生理食塩水を投与したコントロールと比較して内耳障害は有意に軽減された。組織学的にも虚血によって惹起される有毛細胞やラセン神経節細胞のアポトーシスは減少しており、この物質が有望な治療薬になりうることが示された。3)骨髄幹細胞の移植:成熟スナネズミの大腿骨および頸骨から骨髄を採取し、FACSで解析することで骨髄幹細胞を分離した。これを別の動物の鼓室階に注入した後、一過性虚血を負荷して内耳障害を惹起させた。その後、ABRを経時的に測定したところ、コントロールの対側と比べ幹細胞注入側のABR閾値は明らかに低く、内耳障害は防御されていた。GDNFを測定したところ、4日目で著明に増加しており、幹細胞がGDNFを介して内耳障害を防御していると推察された。以上より、虚血性内耳障害の防御にはプロサポシンやGDNFの投与が有望であることが示された。
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Research Products
(9 results)