2004 Fiscal Year Annual Research Report
先天性横隔膜ヘルニアの低形成肺に対する出生後の肺成長促進治療に関する研究
Project/Area Number |
16390504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水田 祥代 九州大学, 大学病院, 教授 (30038856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 智章 九州大学, 大学病院, 助教授 (20197247)
増本 幸二 九州大学, 大学病院, 講師 (20343329)
荻田 桂子 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40346771)
木下 義晶 九州大学, 大学病院, 助手 (80345529)
野中 和明 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (90128067)
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Keywords | 先天性横隔膜ヘルニア / 低形成肺 / 肺成長因子 / 経胎盤的胎児麻酔 / サイトカイン / 液体換気 / サーファクタント / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
新生児外科疾患は、周産期・周術期管理、手術手技・薬物療法の発展や医療機器の発達によりその予後が大きく改善した。しかし、先天性横隔膜ヘルニア(以下CDH)は、いまだに高い死亡率を示す予後不良な疾患である。CDHの予後を決定する因子は肺の低形成と新生児遷延性肺高血圧である。特に、肺低形成に起因する絶対換気量の不足は決定的な予後不良因子となる。 産科領域の進歩により、CDHも出生前診断される症例が増加してきたが、出生前に診断される症例は特に重症例が多く、横隔膜全欠損症例のしめる割合が高く、肺低形成も高度な症例が多い。この肺低形成の治療は、胎児治療にて肺の発育を促す試みが行われているが、出生前に出生後の予後を正確に予測するのは困難で胎児治療の適応や時期についてのコンセンサスが得られない。従って現状では出生後に肺の発達を促す方法が、実際的で応用範囲が広いと考えられる。 本研究ではヒトでの臨床応用を前提として大動物である羊を用いて胎児にCDHを作成し、出生後に低形成肺の発達を促す方法として液体換気、Insulin like growth factor(以下IGF)の遺伝子導入、成長ホルモン投与を行い、その効果を検討し、低形成肺の新しい治療法の開発を目的としている。 今年度はCDHの臨床例において胎児麻酔群と非胎児麻酔群では出生後の炎症性サイトカインの上昇が異なり、IL-6,TNF-αが胎児麻酔群では上昇が抑制されていることを実証し、ラットの実験でも証明されつつある。また口唇裂自然発症CL/Fr胎児マウスの口唇を無血清器官培養し、培養液中に外因性にTGF-β3を投与し2日間培養を行った。口唇裂自然発症CL/Fr胎児マウスの口唇癒合は、TGF-β3によって濃度依存的に亢進することが観察された。また、同時に、血管新生のマーカーであるF1k-1,CD31、細胞増殖マーカーであるCyclin D1の発現の亢進がRT-PCR法と免疫染色法とWestern Blotting法を用いた実験により観察された。つまり、TGF-β3の濃度依存的な口唇癒合の亢進のメカニズムとして血管新生、細胞増殖を介していることが考えられることを我々は示唆することができた。TGF-β3の発現を誘導する羊水中因子の解析は、引き続き進行中である。この系を胎仔肺のtissue cultureに応用し、低形成肺の発達をin vitroで促進する方法について検討開始したところである。
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Research Products
(6 results)