2006 Fiscal Year Annual Research Report
感染侵襲時の酸素代謝異常・臓器不全発症機転解明とその治療に関する研究
Project/Area Number |
16390515
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鍬方 安行 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50273678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
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Keywords | 酸素消費量 / 酸素運搬量 / 敗血症 / ショック / 人工赤血球 |
Research Abstract |
目的:腸管血流の障害は、敗血症時の臓器不全発症の引き金として注目されている。腸管血流の時間的・空間的変化を明らかにすることを目的として以下の検討を実施した。対象と方法:ウサギを全麻下に気管切開し、調節呼吸とした。動脈ライン、Swan-Ganzカテーテルを留置、上腸間膜静脈に超音波流量計を装着した。約6cmの空腸をプラスチックステージに固定したのち、空腸全体を温生食で浸潤し、薄フィルムで被覆した。実験群(n=5)は、エンドトキシン(、E.coli由来、1mg/kg)を、対照(n=5)は同量の生食を静脈内投与し、以後30分毎に240分後まで以下の項目を測定した:平均動脈圧;心係数;上腸間膜静脈血流量および空腸組織血流(レーザードプラースキャン法により、関心領域の血流をpixel by pixelに測定し、一定面積(約440pixel)の組織血流の度数分布をとる)。結果:エンドトキシン投与後30分で平均動脈圧、心係数ともに前値より低下し、上腸間膜静脈血流量(44±12ml/min)は前値(63±7ml/min)と比し有意に低下、空腸組織血流は176±62PUと前値(242±46PU)から著明に減少し、CV値は増加して組織血流のheterogeneityが増大した。60分に心係数は前値に回復し、以後前値以上を保ったが、平均動脈圧は高乳酸血症をとったまま240分後まで前値の80%以下を示し、normodynamic shock(心拍出量を保ったまま血管抵抗減弱による血圧低下を来すショック)を呈した。心係数の増加にともない、60分には上腸間膜静脈血流量が前値に回復し、90分以降240分まで約75ml/min前後を示した。一方、空腸組織血流は60分に最低値を示した後、240分まで徐々に増加するものの前値には復せず、CV値も高値をとりheterogeneity増大が持続した。結語:実験的エンドトキシン血症にともなう血圧低下時には、心係数や上腸間膜静脈血流量が正常かそれ以上に復した時でも、腸管組織血流は低下し、かつ組織血流分布のheterogeneityが増大していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)