2005 Fiscal Year Annual Research Report
救命率向上のための新規機能性低分子治療薬の開発:致死性多臓器不全の分子機構解明
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16390516
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
阿邉山 和浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 客員助教授 (30284897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征朗 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70250917)
内村 友則 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (20363616)
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Keywords | HMGB1 / thrombomodulin / sepsis / DIC / lethality / anti-inflammatory peptide |
Research Abstract |
今回の研究を通して、敗血症・多臓器不全状態において、破壊された組織・細胞(壊死病巣)から放出され、「個体死のメディエーター」として作用するHMGB1蛋白について、(1)正常血管内皮細胞膜上に多く発現しているトロンボモジュリン(TM)蛋白に細胞外でのHMGB1蛋白機能の阻害活性があること、(2)その阻害活性は、アミノ末端側に存在するレクチン様ドメイン(D1)によるものであることを明らかにした(100アミノ酸からなるD1領域のペプチドの投与により、組織破壤型の炎症の遷延化、エンドトキシンショックモデルなどの致死性など、HMGB1蛋白を介したとされる生体イベントが抑制・予防できた。)(3)また、TM蛋白のカルボキシ末端側に存在する抗凝固活性を有するEGF様ドメインには、直接的なHMGB1蛋白機能の阻害活性はなく、同部とトロンビンの結合により活性化されるプロテインCの経路に、敗血症・多臓器不全状態の致死性に対する延命効果があり、このメカニズムにおいて、活性化プロテインC/プラスミノーゲンアクチベーター・プラスミン経路によるHMGB1蛋白の分解という現象が、一部関与している可能性も見出した。(4)コンピュータを用いた構造予測で、HMGB1蛋白中の受容体(RAGE蛋白)との結合部位とされる250-280番目の部分と、RAGE蛋白の相互作用と報告されているプロリン・ロイシンに富んだ領域との結合性に類似している部分(10-20アミノ酸)で、TM蛋白のD1領域に存在し、HMGB1RAGE機能に対し阻害活性を有するペプチドをスクリーニングし、見出した。その結果、PXXXLあるいは、LXXXP(Xは任意のアミノ酸)という構造を有するペプチド(最低でも、10アミノ酸以上の大きさが必要)には、その活性が存在することを見出した。(5)これらの結果をもとに、強力なHMGB1蛋白機能の阻害活性を有する抗炎症ペプチド(RAGEに類似した12アミノ酸のペプチド)も見出した。
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Research Products
(2 results)