2004 Fiscal Year Annual Research Report
免疫担当細胞に対して分子擬態を呈するレンサ球菌由来タンパク質の同定および機能解析
Project/Area Number |
16390525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 重忠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50273694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 一路 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70294113)
岡本 成史 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (50311759)
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Keywords | S.pyogenes / 分子擬態 / 免疫 / タンパク質 / 食細胞 |
Research Abstract |
A群レンサ球菌(group A streptococcus : GAS)はヒト咽頭部より感染し,咽頭炎や扁桃炎,肺炎などの上・下気道炎を引き起こす.近年,典型的な疾患である猩紅熱は先進国諸国において激減してきたが,軟部組織壊死や多臓器不全を引き起こす侵襲性GAS感染症が新たに報告されるようになった.そこで,本研究では,幾重にも装備している宿主免疫系をいかにしてGASが回避し,増殖するかに焦点をあて,解析を行った.すでに,当教室において同定した補体C5aに結合能を有するGAS由来のC5aBPタンパクについて免疫学的解析を始めた.ビオチン標識C5aを用いたリガンドブロット法により,GASの菌体表層画分から同定されたタンパクC5aBPは,ゲノムデーターベース上の336アミノ酸残基よりなる推定分子量36kのタンパクと一致した.同配列をもとに作製した組換えC5aBPはC5aに結合し,タンパク質相互作用解析(Biacore)による解離定数は4x10^<-7>Mであった.抗C5aBP抗体を用いたウエスタンブロット分析の結果,C5aBPが菌体表層および培養上清中に存在することが明らかにされた.続いて,ヒト末梢血好中球の機能に及ぼす影響を解析するため,好中球培養液中に組換えC5aBPを添加したところ,好中球の遊走能およびPMA刺激時のH_2O_2産生能を阻害することが示された.以上の結果から,GASは上皮バリアを通過して宿主内に侵入した際,C5aBPを用いて炎症巣のC5aと結合し好中球の機能を阻害すると考えられる.
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Research Products
(3 results)