2004 Fiscal Year Annual Research Report
扁平上皮癌細胞の低酸素におけるアポトーシス回避の機序に関する分子生物学的検討
Project/Area Number |
16390538
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 哲也 高知大学, 医学部, 助教授 (00200824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹部 衣里 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (40363288)
植田 栄作 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (10203431)
鎌谷 宇明 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (00315003)
立石 善久 高知大学, 医学部, 助手 (20372732)
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Keywords | 低酸素誘導因子 / アポトーシス / 扁平上皮癌細胞 / Akt / PI3キナーゼ / Bco-2ファミリー蛋白質 / 放射線 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
株化口腔扁平上皮癌細胞を用いて、低酸素、さらには、抗癌剤および放射線によるアポトーシス誘導における低酸素誘導因子(HIF-1α)の関わりについて検討した。 <結果> 1.株化口腔扁平上皮癌細胞OSC-4を1%O_2の低酸素で24時間処理すると、HIF-1αの発現が誘導される一方でアポトーシスが誘導されたが、HIF-1αを強発現させたOSC-4では低酸素によるアポトーシス誘導がコントロールに比べ強く抑制された。コントロール細胞では、低酸素処理によりBcl-2およびBc1-XL,の発現低下、逆に、BaxおよびBakの発現増強が誘導され、ミトコンドリアからのチトクロームCの放出が認められたが、HIF-1αを強発現させたOSC-4ではBcl-2およびBcl-XLの発現が充進し、逆に、BaxおよびBakの発現は低下するとともに、チトクロームCの放出も抑制された。 2.HIF-1αによるアポトーシス誘導抑制の機序を検討すべく細胞の生存シグナルについて検討したところ、HIF-1αを強発現させたOSC-4ではPI3キナーゼ、pAktおよびpERK発現の亢進、Badのリン酸化、さらには、Badと14-3-3とのComplex形成の促進が認められる一方で、BadとBcl-2とのComplexおよびBadとBcl-XLとのComplex形成の減弱が認められた。 3.抗癌剤や放射線に対する感受性は、HIF-1αの発現が強いOSC-5および-6では弱く、逆に、HIF-1αの発現が弱いOSC-2および-4では強く、HIF-1αの発現程度と抗癌剤や放射線に対する感受性との間には負の相関が認められた。HIF-1αの発現が強い細胞株にHIF-1αのsiRNAを導入すると、抗癌剤や放射線に対する感受性が増強し、より強くアポトーシスが誘導され、逆に、HIF-1αの発現が弱い細胞株にHIF-1αのcDNAを導入すると、抗癌剤や放射線に対する感受性が減弱した。 <結論> 以上より、HIF-1αはPI3キナーゼを介してAktを活性化し、Bcl-2ファミリー蛋白質の発現、リン酸化およびComplex形成を制御することにより、アポトーシスを抑制し、細胞を生存へと導くことが示唆された。さらには、HIF-1αは癌細胞の抗癌剤や放射線に対する感受性を減弱させることより、HIF-1αの発現抑制は癌治療の新しい戦略となりうると考えられた。
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