2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯根面の耐酸性の検索と根面う蝕予防のための新しいレジン系材料の開発
Project/Area Number |
16390545
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今里 聡 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (80243244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野杁 由一郎 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (50218286)
林 美加子 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40271027)
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Keywords | 歯根 / 耐酸性 / 根面う蝕 / 脱灰 / レジン / 接着 / セメント質 |
Research Abstract |
提出した計画書に基づいて実験を実施し,以下のような成果が得られた。 1.試作根面コート材の根面被覆効果と脱灰抑制作用の検討 Clearfil Protect Bondプライマーと多官能性メタクリレート系レジンを組み合わせた試作根面コート材を抜去歯の歯根面に適用し,走査型電子顕微鏡による形態学的観察を行った。その結果,歯根表面は厚さ約65μmの緊密なレジン層により被覆されており,市販一液性セルフエッチング接着システムであるAdper Prompt L-PopやClearfil Tri-S Bondを適用した場合と比較してレジン層が厚く,封鎖効果が確実であることが分かった。また,試作コート材を適用した場合には,セメント質への十分な浸透が生じ,約4-6μmのセメント質との完全なhybridized layerの形成が認められた。 さらに,pH5.5の酢酸緩衝液への4週間の浸漬による人工脱灰試験を行ったところ,市販一液性接着システムではいくつかの試料で脱灰が認められたが,試作コート材を適用した場合には根面の脱灰が完全に抑制されることが明らかとなった。 2.セメント質への接着性の検討 平成17年度に確立した微小引張接着試験法により,市販一液性セルフエッチング接着システムと試作根面コート材のセメント質への接着性を比較したところ,接着強さの点では試作コート材が有意に低い値を示した。しかし,破壊様式はレジン内での凝集破壊であり,セメント質との接着性は高いものの,コートレジンの強度が低いために接着強さが低い値となったものと判断された。 3.根面被覆効果の耐久性の評価 試作コート材のレジンのみで重合体を作製し,10000回の歯ブラシ磨耗試験に供した結果,本材料が耐摩耗性の点でもすぐれている可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)