Research Abstract |
本年度は,口腔関連QOLの指標として世界的に広く用いられているOral Health Impact Profile (OHIP)-14 (Slade GD.Community Dent Oral Epidemiol 1997)について,日本語版を製作し,60歳以上の被験者に回答してもらい,Interclass correlation coefficients (ICC)より信頼性(Reliability)を,Cronbachのαより内的妥当性(Internal validity)をそれぞれ評価し,さらにOHIP-14と口腔内状態や口腔機能との関係について検討した. まず,Oral Health Impact Profile-14の質問票を翻訳し,日本語版OHIP-14を試作した.試作した日本語版OHIP-14を60歳以上の被験者約20名に回答を求め,分かりづらい表現,解釈の分かれる表現などに修正を加えて日本語版OHIP-14の質問票を完成した. 次に,日本語版OHIP-14について,大阪府老人大学講座の受講生1,244名(平均年齢67.1±4.4SD歳)から回答を得て分析を行ったところ,日本語版OHIP-14スコアのICCは0.87,Cronbachのαは0.95を示し,日本語版OHIP-14は,高い信頼性と妥当性を有することが明らかとなった. さらに,日本語版OHIP-14のアンケート調査を行った中から希望者を募り,282名に対して残存歯や義歯などの口腔内の情報を収集するとともに,咬合力,咀嚼や味覚などの口腔機能検査を行った.その結果,日本語版OHIP-14スコアは,年齢や性別と有意な相関はみられなかったが,残存歯による咬合支持,口腔乾燥感,咀嚼能率とは有意な相関がみられた. 以上の結果より,日本語版OHIP-14は,口腔関連QOLの評価法として信頼性と妥当性に優れ,有用性の高い方法であることが示された.
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