2005 Fiscal Year Annual Research Report
表面処理を施したチタンインプラント表面上における骨芽細胞の遺伝子発現解析
Project/Area Number |
16390562
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
武部 純 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (50295995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 寛二 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (90018771)
伊藤 創造 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (60203139)
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Keywords | インプラント材料 / チタン / オッセオインテグレーション / チタン表面処理 / 水熱処理 / HA結晶 / 遺伝子発現 / 細胞分化 |
Research Abstract |
平成17年度の研究では、SA処理チタンディスク(SAcpTi)ならびに未処理チタンディスク(cpTi)上にてラット骨髄由来骨芽細胞を5,7,10,14日間培養後、骨芽細胞よりmRNAを抽出し逆転写酵素を用いたポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法にて骨基質形成関連遺伝子の発現解析を行った。培養5日目までを骨基質形成期、7日目以降を石灰化期とした。I型コラーゲン(ColI)mRNAはcpTi、SAcpTiともに7日目まで増加し、それ以降の石灰化期では減少した。アルカリフォスファターゼ(ALP)、オステオポンチン(OP)、骨シアロプロテイン(BSP)mRNAはcpTiに比較してSAcpTiで骨基質形成期から石灰化期にかけて増加した。オステオカルシン(OC)mRNAは石灰化期の14日目で発現を示し、cpTiに比較してSAcpTiで増加した。以上の結果から、cpTiに比較してSAcpTi上での骨基質形成関連遺伝子の発現は高まる傾向を示し、さらに発現パターンも異なっていることが示唆された。また、ラット顎骨内でのHA結晶状態について検証した。28日間埋入後に摘出し、HA結晶について、走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察、電子プローブX線微小部分析装置(EPMA)によるPとCaを指標とした面分析、X線光電子分光分析(XPS)によるHA結晶内部のPとCaの結合エネルギーを分析した。SAcpTi表面に形成されたHA結晶層(HA皮膜)に沿って骨の形成が認められた。この理由として、陽極酸化膜上に析出したHA皮膜は、結晶性の高い六方晶系を呈する単結晶のHA結晶で構成されているためと考えられた。高結晶性のHAは、安定性があると報告されていることから,結晶性の高いHA結晶により、形態やHA結晶のPとCaの分布状態に変化は認められなかったと考えられた。さらにPとCaの結合エネルギー状態は、埋入前後において、平成16年度の報告と同様の傾向を示し、変化していないことが示された。SAcpTi上に形成されたHA皮膜は、骨基質形成ならびに骨形成の過程において変化することなく、オッセオインテグレーションを獲得しやすい場を作り出す要因となっていることが考えられた。
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Research Products
(2 results)