2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用チタン合金のEQCA(マイクロバランス)による腐食・変色評価
Project/Area Number |
16390564
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Research Institution | Tokyo Dental Collage |
Principal Investigator |
小田 豊 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武本 真治 東京歯科大学, 歯学部・歯科理工学講座, 助手 (70366178)
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Keywords | 腐食 / チタン / 変色 / タンパク質 / 電気化学 / アルブミン / チタン合金 |
Research Abstract |
チタンおよびチタン合金の臨床応用が普及してきているが,チタンインプラントや義歯床の着色や変色のトラブルも散見される。原因として炎症性細胞からの過酸化物の影響が報告されている。そこで,本研究では過酸化水素水溶液中でのチタンおよびチタン合金の変色挙動について調べた。 材料としてCP-Ti, Ti-0.15Pd, Ti-7Nb-6Al, Ti-6Al-4V, Ti-10Cu, Ti-55Ni, Ti-20Cr, Ti-6Al-4Vの各合金を用い、過酸化水素濃度とpH(4〜10)の異なる溶液を使用した。(1)色彩計(MCR-A,ミノルタ)を用いることにより浸漬前後のL*a*b*値を測定すると共に色差(ΔE*)を算出することによって変色を測定した。(2)各合金試料浸漬後の溶液中の元素濃度をICP(Vista-MPX,セイコー)で測定し,各元素の溶出量を測定した。(3)CP-Ti, Ti-Pd, Ti-Crの水晶振動子を用いたEQCAの測定は,共振周波数、共振抵抗、自然電位の測定を行った。 その結果、ほとんどのチタン合金でpHが低いほど、過酸化水素濃度が高いほど著しい変色が認められ,Ti-20Cr合金では何れの溶液中に於いても最小の値を示した。また、pHが高いほど同様の傾向が認められた。溶出量の測定では、pHが酸性または中性でほとんどの合金において溶出量が僅少あるいは検出限界以下であったが、pHの高いアルカリ領域では過酸化水素濃度が高いほど顕著な溶出量を示した。水晶振動子を用いたEQCAの測定では変色、溶出量との明確な関係が得られなかった。 以上の実験から、チタンおよびチタン合金の変色傾向と溶出量は過酸化水素濃度と溶液のpHによって異なり,pHの低い酸性領域では,溶出量が少ないにも拘わらず色差が大きいことから腐食よりも酸化膜形成による変色の要因が大きいと考えられた。また、pHの高いアルカリ領域では色差も溶出も大きいことから変色の原因は主に腐食によると考えられた。
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