Research Abstract |
歯科用合金のレーザー溶接技法の確立のため,様々な条件でのレーザー照射による引張強さおよび溶融池の形状観察を行った. (1)歯科用合金鋳造体(金合金,金銀パラジウム合金,Co-Cr合金,チタン,陶材焼付用金合金)にレーザーを照射し,照射による引張強さへの影響について検討した.レーザー溶接機は,ネオレーザーP (Girrbach)を用い,照射条件は,スポット径0.5mmで印加電圧を170Vから210Vまで10Vきざみで変化させた.なお,パルス幅は金属によって従来の方法から決定した.その結果,引張強さは,チタンでは大きな低下がみられなかった.一方,金合金およびCo-Cr合金では,印加電圧が高くなるにしたがって大きく低下した.また,陶材焼付用金合金および金銀パラジウム合金では僅かに低下する傾向を示した.印加電圧が高くなることによって低下した理由としては,ポロシティや内部応力の発生などが考えられた. (2)歯科用合金鋳造体を長軸方向に対して90°で切断し,同種合金のレーザー溶接を行った.次に引張試験を行い破断面の観察を行った.その結果,レーザー照射条件(印加電圧,スポット径,照射時間など)によってレーザー光が中心部まで及ばなかった場合やポロシティの発生,金属の飛散による接合面積の減少などが観察された.したがって,レーザー光を中心部まで届かせると共に,レーザー溶接欠陥の発生しない照射条件の検討が重要であった.すなわち,様々な条件ので溶融池の形状観察のデータの蓄積が必要であることが示唆された. (3)金属材料の表面形状が溶融池の形状に影響するのかを検討するため,チタン鋳造体表面をアズキャスト面,サンドブラスト面および鏡面研磨面とした場合について印加電圧を220V,パルス幅1,3,5,7ms,スポット径0.3,0.5,0.7mmの条件でレーザー照射を行った.その結果,チタン鋳造体では,ほとんど影響がなかった.
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