Research Abstract |
本研究は,異種金属鋳造体のレーザー溶接技法を確立するために,歯科用合金に様々なレーザー照射条件でレーザー照射した場合の光と音,溶け込み深さ,溶接角度の影響,溶接強度などについて測定し検討した.歯科用合金としては,チタン,金合金,金銀パラジウム合金,コバルトクロム合金を用いて加工材および鋳造体として検討した.鋳造は,金合金および金銀パラジウム合金ではクリストバライト埋没材を用いてアルゴンキャスターCで行った.コバルトクロム合金ではスノーホワイト埋没材を用いてアルゴンキャスターCで行った.チタンではセレベストCB埋没材を用いてタイキャストスーパーRで行った.その結果,合金の種類,レーザー照射条件,鋳造による表面状態の違いによって溶け込み深さは大きく異なった.また,レーザー照射エネルギーが強すぎる場合は,大きな音とともに合金の飛散や合金内部に空隙が発生し,溶接欠陥の原因となった.異種金属の溶接強度は,コバルトクロム合金-金銀パラジウム合金およびコバルトクロム合金-金合金の組み合わせでは十分な値を示す.しかし,チタン-コバルトクロム合金,チタン-金合金およびチタン-金銀パラジウム合金の組み合わせでは溶接強度が不十分である.異種合金鋳造体のレーザー溶接は,まず,溶接部の接合部位を密着させ,溶接欠陥を発生させないレーザー照射エネルギー条件で,溶接できる最も低いエネルギーで溶接することなどによって可能であると考えられた.また,レーザー溶接教育のためには,レーザー溶接の原理,溶接金属の溶け込み深さのデータベースの作成,マイクロスコープを覗いてのピント位置の確認,ディフォーカスによる影響などを体験させることが重要と考えられた.
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