Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正明 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (50067055)
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (70168821)
高田 雄京 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (10206766)
中川 雅晴 九州大学, 大学院・歯学研究院, 講師 (80172279)
河田 英司 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40147260)
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Research Abstract |
金属アレルギー検査法の確立を目指すため,平成16年度から口腔内での歯科用金属組成の溶出挙動の把握につとめてきた.その結果,ヒト唾液組成により溶出挙動が影響を受けるものの,金属アレルギー患者またはその疑いの患者と健常者における市販歯科用合金からの組成金属の採取唾液中への溶出挙動には影響ないことが疑われた.本年度は唾液組成中の塩素濃度およびカルシウムについて調べた. 1.合金の溶出量の測定 試料:金合金タイプ1〜4,陶材焼付用金合金,金銀パラジウム合金,純チタンおよびNi-Ti合金を臨床現場と同じ技工操作によって試料とした. 抽出液:金属アレルギーまたはその疑いの患者および健常者の採取唾液を使用した. 測定方法:高速プラズマ発光分光分析装置を使用して溶出した合金の組成金属の測定を行った. 結果:測定した合金から,組成金属成分のAg, Cu, Pd,そしてNiの溶出がそれぞれ確認された.金属アレルギーまたはその疑いと健常者の採取唾液への溶出量の比較では,金合金のCuにおいて健常者がわずかに少なかったが,他の金属では両者に差が認められなかった. 2.溶出金属とヒト唾液との関係 測定方法:X線マイクロアナライザーによる合金の表面を分析した. 結果:被験者の口腔内修復物の分析では,Au, Ag, Cu, Zn, Pt, Pd, Cr, Co, Ni, Ti, Mo, Feがそれぞれ検出された.金属アレルギーまたはその疑いの診断では,それぞれNi, Zn, Sn, Pd, Au, Cuなどがパッチテストでの陽性反応と診断されていた.金属アレルギーまたはその疑いと健常者の唾液中での塩素濃度およびカルシウム量に顕著な差は認められなかった. 本実験結果から,金属アレルギー疾患に関与する合金組成の溶出に関連する唾液因子解明ではタンパク質による影響が大きいものの,現段階では金属アレルギー疾患との明確な関係は認められなかった.今後,これまでに得たデータに基づいて緩衝能などのより詳細なヒト唾液組成因子と組成金属の溶出動態分析が金属アレルギー検査に向けた指針の解明に重要であると考えられた.
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