Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 尚志 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60330966)
都築 尊 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (70330967)
松永 興昌 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (50389409)
生山 隆 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (00389412)
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Research Abstract |
顎骨骨質診断は歯科治療前および予後診断の向上をもたらし,歯科医療を画期的に科学的な方向へと進展させうる.しかし,骨質診断には骨の基質成分であるコラーゲンの架橋構造の分析と骨の結晶化度を測定せざるをえず,ヒトへの応用には現状で非常に困難である.臨床研究の前に,骨の老化変化が異なる動物モデルを用いた全身骨と顎骨の関係を明らかにする必要がある.本年度は,老化促進モデルマウス(SAM)の中でも,老年性骨粗鬆症を呈するSAMP6,骨粗鬆症は呈さないSAMP8および老化促進現象を呈さないSAMR1の大腿骨と下顎骨の組織学的所見を比較することにより,両骨の老化変化の関係を検証した.皮質骨の幅は,SAMR1と比べてSAMP6の大腿骨と下顎骨の両方とも相違が認められなかったが,SAMP8では両骨ともに大きな値を示した.海綿骨では,SAMR1と比べて,SAMP6の大腿骨と下顎骨の両方において骨面積の狭小化が認められたのに対して,SAMP8では大腿骨において骨面積の狭小化が認められた反面,下顎骨では骨面積の増大化が認められた.また,海綿骨における骨芽細胞と破骨細胞の密度では,SAMR1と比べて,SAMP6では大腿骨での骨芽細胞の減少と下顎骨での破骨細胞の増加が認められたのに対し,SAMP8では下顎骨での破骨細胞の減少のみが認められた.これらの結果から,SAMP6は下顎骨においても骨粗鬆症様老化を呈し,SAMP8では大腿骨でも下顎骨でも骨皮質が太くなる老化現象を呈することが判明した.また,これらの3種類のマウスの比較から,下顎骨の老化は,皮質骨に関しては大腿骨の老化と同様な組織所見を呈するが,海綿骨においては少なからず組織学的に異なる老化所見を呈する可能性が示された.以上より,SAMは全身骨との比較が検証できる,顎骨骨質診断法の開発のための有益なモデルマウスであることが示された.
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