2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔悪性腫瘍の予後予測因子は何か?-トランスレーショナルリサーチの試み-
Project/Area Number |
16390576
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50301891)
大廣 洋一 北海道大学, 病院・助手 (40301915)
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Keywords | VEGF-C / Bcl-2 / p53 / 口腔扁平上皮がん |
Research Abstract |
VEGF-Cは、リンパ管新生を誘導して腫瘍細胞のリンパ節転移に関係することがマウスを用いた実験系や、各種ヒト悪性腫瘍等で報告されVEGF-Cの発現とリンパ節転移の関連が示唆されている、北海道大学病院を受診し口腔扁平上皮がんと診断した48例を対象にVEGF-Cの発現をreal-timeRT-PCRを用いて検索し、臨床病理学的パラメーターと比較検討した。その結果VEGF-Cの発現亢進とリンパ節転移との間に有意な相関が認められるとともに、VEGF-Cが高発現を示す症例では腫瘍径が小さいものでもリンパ節転移を起こす可能性が高いことが示唆された。さらに、初診時臨床的にリンパ節が転移が認められなかった症例でもVEGF-Cの発現が亢進している腫瘍は高頻度にリンパ節後発転移が生じる可能性があることも明らかとなった。腫瘍の浸潤様式との関連では、膨張性発育を示す腫瘍でもVEGF-Cの発現が亢進している症例はリンパ節転移が増加する傾向が見られ、浸潤性増殖を示す腫瘍でもVEGF-Cの発現量が少ないものは転移形質が低いことが示唆された。 次に、北海道大学歯科診療センターおよび恵佑会札幌病院歯科口腔外科にて口腔扁平上皮癌と診断され、術前治療後に切除を受けた19症例を対象とし、初診時の生検材料より抽出したRNAを出発材料としたreal-timeRT-PCRおよび免疫組織染色により、Bcl-2ファミリー遺伝子およびタンパク発現とp53タンパク発現を調べ、術前治療効果との関連について検討した。治療抵抗性であった全例でp53の変異を認めた。また19例中6例でBcl-2発現亢進を認め、Bcl-2が発現している症例は術前治療に対する抵抗性のある傾向を認めた。Baxは全例で発現の抑制を認めた。このような結果は、Bcl-2ファミリー遺伝子の発現が術前放射線・化学療法に対する抵抗性と関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)