2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子の新規導入技術を用いた骨および歯周組織の再生
Project/Area Number |
16390579
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70161049)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 尚知 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (70343150)
黒田 真司 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (50323689)
小田 茂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (70160869)
朝比奈 泉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30221039)
|
Keywords | 遺伝子導入 / プラスミドDNA / BMP / 骨 / 歯周組織 / 組織再生 / 再生医療 / コラーゲン |
Research Abstract |
骨や歯周組織の再生法として様々な手法が開発され臨床応用されているが、簡便で安全性が高くコスト的にも社会に受け入れられる方法が求められている。我々は、リン酸カルシウムの微粒子にプラスミドDNAを結合させコラーゲンと混合し、この混合物を組織の欠損部に埋入した場合に著しく遺伝子導入効率を上げることができることを見出した。この手法を用いて、以下の実験をおこなった。 1.ラットの脛骨に5mmの完全離断型の骨欠損を作成し、その欠損部位に対して、ヒトBMP2をコードする発現プラスミドベクターを用いて我々の方法で遺伝子導入をおこなった。処置後8週においては離段した骨は通常の脛骨と同様の強度をした。導入したヒトBMP2の遺伝子発現は8週以降次第に減弱することを確認しており、このことは手法を用いた遺伝子導入が安全であることを示唆している。 2.骨芽細胞の分化に必須な転写調節因子としてRunx2とosterixがある。これら転写調節因子を発現ベクターに組み込み、同様の方法をもちいてラットの切歯を抜歯窩に遺伝子導入をおこなったところ、抜歯窩の治癒の促進は著しいものではなかった。骨組織の修復の目的で、これらの転写調節因子を用いた遺伝子導入法を用いることは得策ではないと考えられる。 3.ラットの脛骨に骨欠損を作成し、ヒトBMP12(GDF5)をコードする発現プラスミドを用いて同様の手法で遺伝子導入をおこなった。BMP12タンパクは靭帯を誘導することが報告されているが、骨欠損部にBMP12遺伝子を導入した場合は、骨欠損部を修復すること、修復された部分の外側には靭帯様の組織が形成された。したがって、BMP12遺伝子導入は靭帯の修復に有用である可能性が高い。 4.コラーゲンの代わりに繊維状のハイドロキシアパタイトを用いて遺伝子導入が可能であることを確認した。コラーゲンに比較して、この材料は生物由来でないため安全であり、この材料は骨や歯周組織の再生の足場材料として有用であると考えられる。
|
Research Products
(5 results)