2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390586
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
由良 義明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00136277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
墨 哲郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40252697)
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Keywords | 口腔癌 / リンパ節転移 / 遺伝子治療 / 変異型ヘルペスウイルス / 分化誘導剤 / 活性酸素 |
Research Abstract |
複製可能型変異単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を用いた癌治療は、ウイルスがもつ細胞変性効果を利用して腫瘍細胞を融解するものである。HSV-1の神経傷害性遺伝子_<γ1>34.5を欠損した変異型HSV-1 R849を培養口腔癌細胞に感染し、癌細胞の分化誘導剤であるヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)で処理したところ、HSV-1の前初期遺伝子の転写が亢進し、R849の産生量は増加した。そこで、生体での抗腫瘍効果を明らかにするため、頬部に口腔扁平上皮癌細胞を接種して形成された腫瘍内にR849を単独で投与する群、R849の腫瘍内投与に加えてHMBAを腫瘍内あるいは腹腔内に投与する実験群を設定し、実験を行った。その結果、腫瘍にR849を投与することで腫瘍形成は抑制されたが、R849の腫瘍内投与に加えてHMBAを腫瘍内あるいは腹腔内投与した場合、腫瘍抑制はより顕著で、投与50日まで腫瘍の退縮を認めた。R849単独投与では腫瘍は一旦縮小するものの再増殖し腫瘍の増大に伴って腫瘍死する動物がみられた。HMBA投与群では再増殖も抑制され、生存率をカプランマイヤー法で求めるとHMBA腹腔内投与群で最も生存率が延長した。これらR849とHMBA投与を行った群では、ウイルス遺伝子のICP0、ICP4、TK、VP16の発現が亢進しており、in vivoにおいてもHMBAはウイルス遺伝子発現を介して細胞傷害増強効果を示すことが明らかとなった。腫瘍細胞では核染色、FACS解析でアポトーシスが確認された。また、ウイルス感染によって生じる炎症時に発生するフリーラジカルに関する研究では、H_2O_2はHSV-1を感染させた上皮細胞からのウイルス放出を促進することが明らかとなり、活性酸素のHSV-1感染への関与が示唆された。
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Research Products
(6 results)