2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390586
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
由良 義明 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00136277)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
墨 哲郎 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (40252697)
|
Keywords | 口腔癌 / リンパ節転移 / 遺伝子治療 / 変異型ヘルペスウイルス / 分化誘導剤 / 活性酸素 |
Research Abstract |
複製可能型変異単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を用いた癌治療は、ウイルスがもつ細胞変性効果を利用して腫瘍細胞を融解するものである。表在性、散発性に出現した口腔癌の頸部リンパ節転移に有効な治療はないが、乳癌の転移リンパ節転移に対してはHSV-1 HF10の投与で抑制効果が報告されており、リンパ節転移の新しい治療法として期待されている。1)神経毒性遺伝子γ_134.5遺伝子を欠失したHSV-1 R849株を用いて抗腫瘍効果につき検討した結果、口腔扁平上皮癌を移植したヌードマウス腫瘍にR849を投与した群あるいはR849投与に加え白血病の分化誘導剤であるヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)腹腔内投与を行った群では、HMBA投与群で腫瘍が強く抑制されマウスの生存率も延長した。2)ウイルス感染症では炎症に伴って活性酸素が産生される。HSV-1を感染に及ぼす影響を検討したところ、過酸化水素は上皮細胞からのウイルス放出を細胞膜の透過性亢進によって促進することが明らかとなった。3)乳癌のリンパ節転移に対して効果があるHSV-1 HF10はHFのクローンウイルスである。HF株を用いた検討では、細胞融合によって巨大な多核巨細胞が形成され、口腔癌細胞の細胞死が誘導された。口腔癌に対してもHFの抗腫瘍効果は十分期待できる。4)ホウ素化合物をあらかじめ口腔癌細胞に取り込ませたのち中性子線を照射し、飛程距離の短い放射線を発生させ腫瘍を死滅させるホウ素中性子補捉療法は進展口腔癌に極めて有効であった。今後、HSV-1との併用を考える上で有用な選択的放射線治療といえる。
|
Research Products
(6 results)