2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の発癌へのヒトパピローマウイルスの関与について
Project/Area Number |
16390590
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉山 勝 広島大学, 歯学部, 教授 (70187681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 美和 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10325201)
東川 晃一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80363084)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / ヒトパピローマウイルス / 細胞周期調節因子 |
Research Abstract |
ヒトパピローマウイルス16型(HPV-16)E7 DNAの発現抑制が,pRbやE2Fなどの細胞周期調節因子に与える影響については、他の悪性腫瘍と同様に口腔扁平上皮癌(OSCC)でも明らかにされているが,周じ細胞周期調節因子であるCdc25Aとの関係についてはこれまで検討されていない。また,OSCCにおけるCdc25Aの発現意義についても明らかにされていない。そこで,我々は,上記の問題について検討した。 対象:広島大学病院口腔顎顔面再建外科を受診したOSCC患者のうち,新鮮凍結組織が得られた22人を対象とした。 方法:新鮮凍結組織からDNAを抽出し,HPV-16 E7 DNAの存在有無について検討した。組織から抽出したmRNAを用いて,HPV-16 E7とCdc25AのmRNAの発現について検討した。組織から抽出した蛋白を用いて,Cdc25A蛋白の発現について,Western blotting法で解析した。また,抗Cdc25A抗体を用いて,同蛋白の組織における局在についても検討した。 結果:正常粘膜においても,時に基底細胞の核にCdc25A蛋白の発現が見られた。OSCCにおける同蛋白の発現頻度は高く,22例中17例(77%)で発現が認められた。OSCC組織中のCdc25A mRNAの発現は、正常粘膜と比較して,12例(54%)で高く5例(22%)で低かった。Western blotting解析でも,Cdc25A蛋白の発現は正常粘膜では弱く,OSCCでは54%が周囲の正常粘膜よりも高発現を示した。HPV-16 E7 DNAの発現は,正常では殆どなかったのに反して,OSCCでは22%で検出された。統計学的解析では,Cdc25A蛋白の発現とHPV-16 E7 DNAの発現とが,有意(p=0.031)の相関を示すことが明らかになった。
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