2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌放射線治療のDNA損傷に対するチェックポイント機構異常の解析と分子標的治療
Project/Area Number |
16390592
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
新谷 悟 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80294429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜川 裕之 愛媛大学, 医学部, 教授 (20127905)
中城 公一 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (90314880)
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Keywords | 放射線治療 / 感受性 / 抵抗性 / マイクロアレイ / 血管新生阻害剤 / Heat shock Protein 90 / 17-AAG |
Research Abstract |
今年度の研究においては、口腔癌の放射線治療におけるDNA損傷機構ならびに放射線抵抗性の分子メカニズムの解析と、血管新生阻害、Heat shock Protein 90 (HSP90)阻害剤による放射線感受性増強に関して検討を行った。 DNA損傷機構と放射線抵抗性の分子メカニズムの解析は、放射線感受性の異なる7種類の培養細胞株を用い、マイクロアレイによる網羅的遺伝子解析との関連にて新規放射線抵抗性遺伝子候補を検索した。その結果、FGF2、Fli-1、G1P3など約20種類の候補遺伝子を同定した。これらの遺伝子ならびに遺伝子産物の発現は、実際の放射線治療の奏功率とも相関し、臨床的にも治療予測因子となり得る可能性を示した他、放射線感受性増強の分子標的になり得ることが示唆された。 また、血管新生阻害剤(TNP-470)による放射線感受性の増強に関する検討では、血管誘導能が高い細胞株におけるヌードマウス移植腫瘍においては、放射線感受性の増強効果が高く、併用による著し抗腫瘍効果が見られたものの、血管誘導能の低い腫瘍においては、増強効果に乏しく、併用による抗腫瘍効果の増強は見られなかった。このことから、腫瘍の血管新生誘導能が血管新生阻害剤の放射線感受性増強に関連することが示された。 また、HSP-90阻害剤(17--AAG)を用いた検討においても、p53の変異がない細胞においては著しい抗腫瘍効果を認めたものの、p53に変異をもつ腫瘍では、併用による抗腫瘍効果の増強は見られなかった。 これらの結果より、血管新生阻害剤ならびにHSP90阻害剤による放射線感受性増強の可能性が示唆された。しかし、その一方で腫瘍の標的分子の状態による個別化を行い、適切な分子標的治療薬と放射線治療の併用をはかることが的確な治療法選択における重要な課題としてクローズアップされてきたと考える。
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Research Products
(2 results)