2005 Fiscal Year Annual Research Report
がん浸潤・転移分子を標的とした口腔癌転移抑制療法の開発
Project/Area Number |
16390593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白砂 兼光 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (30093420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 剛 九州大学, 大学病院, 助手 (40322292)
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Keywords | 口腔癌 / 浸潤・転移 / ウロキナーゼ / ウロキナーゼ受容体 / 血管増殖因子 / リンパ管新生 / インテグリン |
Research Abstract |
口腔癌の浸潤を制御している分子機構を解明し、分子標的療法の開発を目的に研究を行なってきた。in vitroの実験で口腔癌の浸潤にウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベター(uPA)とuPA受容体(uPAR)が密に関与しており、これらの発現はAP-1やNF-κBなどの転写因子によって調節されていることを示唆した。実際に口腔癌組織におけるuPAとuPARの発現を検索すると、両者の強発現はリンパ節転移や生存率に強く相関していた。また、癌組織において腫瘍周囲にはリンパ管の造成がみられ、そのリンパ管数の増加に応じてリンパ転移の頻度が増加した。また、リンパ管数は癌細胞における血管増殖因子(VEGF)ファミリーのVEGFCとVEGFDの発現、ならびにuPAやuPARの発現に応じて増加していた。癌細胞によるVEGFCとVEGFDの産生はリンパ管の新生を促し、リンパ節転移をひき起すと考えられるが、uPA/uPARシステムは不活性型で分泌される血管増殖因子の活性化に関与していると思われる。すなわち、uPA/uPARシステムはそのプロテアーゼ活性を利用して、口腔癌の浸潤を促進すると共に、リンパ管新生にも寄与していると思われる。 また、uPARはuPAの活性化に関与するのみならず細胞接着や細胞遊走をも調節していることも示された。すなわち、腺様嚢胞癌細胞はuPARを高発現しており、コラーゲンへの強い接着ならびに細胞遊走亢進を示すが、この機構にuPARが強く関与していることを示唆した。特に、接着斑におけるuPARとα2インテグリンと複合体形成は重要で、uPARをノックダウンすると、コラーゲン刺激によるインテグリン関連分子の接着斑への動員、細胞遊走亢進は完全に抑制された。以上の結果から、uPARは口腔癌の浸潤を制御する重要な分子、すなわち、転移抑制療法の標的分子であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)