2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しい再石灰化促進機能素材「リン酸化オリゴ糖カルシウム」の歯科臨床応用
Project/Area Number |
16390619
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
稲葉 大輔 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (90146085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 健太郎 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (10364374)
米満 正美 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (80092451)
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Keywords | 再石灰化 / リン酸化オリゴ糖カルシウム / 唾液 / QLF / 歯磨剤 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き唾液を使用する再石灰化評価系の妥当性を検討するため、成人集団を対象として唾液を採取し、そのミネラル濃度を確認するとともに、Ca濃度の異なる唾液の再石灰化促進能をQLFにより評価した。合計603人の成人(49.1±12.0歳、男性261名、女性342名)からパラフィン咀嚼刺激唾液を採取し、OCPC法によりCa濃度を、またリンモリブデン酸法によりリン酸濃度をそれぞれ測定した。続いて、人工的に脱灰した牛歯エナメル質を唾液試料に浸漬し、QLF^<TM>でミネラル回復量(ΔΔF,%)を評価した。唾液中Caの範囲は0.25〜2.77mM(平均1.12±0.31mM)と広い分布を示し、最大最小で約10倍の違いがあった。また、リン酸の範囲は2.51〜12.27mM(平均5.05±1.55mM)で、同じく最大最小で5倍以上の違いがあった。また、Caとリン酸濃度の相関は低かった(r=0.24)。Ca濃度が0.92mMの唾液に浸漬した試料のミネラル回復量ΔΔF,%)は6.3±3.9%で、0.35mM Caの唾液に浸漬した試料の値(0.6±0.4%)より、約10倍高く、その差は有意(p<0.05)であった。また、リン酸化オリゴ糖カルシウム(PO_s-Ca)の効果については、昨年度までにフッ化物イオンとの共存による相乗効果が示唆されたことから、今年度は、フッ化物配合歯磨剤を使用後にPOs-Ca配合ガムを咀嚼して得られる唾液の効果、ならびにフッ化物配合歯磨剤にPOs-Caを配合した歯磨剤の効果について試験したところ、両者はPOs-Ca配合ガム単独よりも再石灰化が約50%促進されることが確認された。歯磨剤の普及状況を考慮すると、フッ化物配合歯磨剤にPOs-Caを配合することが再石灰化促進に最適な応用方法であることが示唆された。
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